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「塩野七生」は韓国の公敵になった

「オバマは韓国人慰霊碑を無視した」(4)

2016年6月22日(水)

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なぜ韓国メディアは塩野七生氏を公敵と位置づけるに至ったのか(写真:大高 和康)

前回から読む)

 塩野七生氏が不都合な真実を語った。すると韓国で公敵となった。

全体主義の象徴

前回の「ドン・キホーテは『進撃の巨人』の夢を見るか」に引用されたハンギョレの記事の見出し。なぜ「塩野七生」が入っているのですか。

鈴置:キル・ユンヒョン東京特派員が書いた「塩野七生、あるいは全体主義の誘惑」(5月27日、日本語版)のことですね。

 オバマ(Barack Obama)大統領の広島訪問を論じたこの記事は「謝罪要求を口にさせない日本」を批判し「日本は全体主義に向かう」と警告しました。

 キル・ユンヒョン特派員によれば「塩野七生」こそが、日本の全体主義を象徴します。だから見出しに入っているのです。

 筆者は記事の冒頭で、塩野七生氏の著作を読破したと告白しています。しかし文末では、ソウルに戻ったらそれらの本はすべて片付ける、と書きました。

国の品位の差

どうしてですか。

鈴置:塩野七生氏が朝日新聞のインタビューに答え「無言で静かにオバマ大統領を迎えよう」と語ったからです。

 キル・ユンヒョン特派員はこれを「原爆投下に対し謝罪を要求する個人の切実な呼びかけを、国家の品格という名で遮断しようとする全体主義的な日本社会」の一端と見なしたのです。

 朝日新聞の「オバマ大統領の迎え方」(5月25日)の塩野七生氏の発言のうち、以下の部分をハンギョレは引用しました。朝日の原文と少し異なりますが、ハンギョレの記事をそのまま引きます。

  • 謝罪を求めず、無言で静かに(オバマ大統領を)迎える方が、謝罪を声高に求めるより、断じて品位の高さを強く印象づけることになるのです。
  • (韓国と中国は)ヨーロッパを歴訪して『日本は悪いことをしていながら謝罪もしない』と訴え、効果があると考えたのでしょうか。私には、外交感覚の救いようのない欠如にしか見えませんが。
  • 日本が原爆投下への謝罪を求めないとしたことの意味は大きいのです。欧米諸国から見れば、同じアジア人なのに、と。国の品位の差を感じ取るかもしれません。
  • デモや集会などはいっさいやめて、静かに大人のやり方で迎えてほしい。

 前回も話しましたが、韓国では被害者とは「地面を転げ回って大声で泣き叫ぶもの」です。「静かに迎える日本」は韓国人には全体主義国家に見えるのです。

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「「塩野七生」は韓国の公敵になった」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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