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「14年前のムーディーズ」に再び怯える文在寅

韓国の左派政権を「通貨」で脅す米国

2017年10月12日(木)

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盧武鉉政権の中枢にいた文在寅大統領は、当時の「ムーディーズ格下げ」など米国の経済的恫喝の怖さを知っているが、現状、打てる手は少ない(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

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 中韓通貨スワップは満期が来ても延長されなかった。日本・米国とのスワップも関係悪化から締結は期待できない。韓国は資本逃避の荒波を乗り切れるのか。

中韓スワップ延長せず

中韓のスワップが延長されませんでした。

鈴置:10月10日に期限が切れました。韓国は延長を申し入れていましたが、不発に終わりました。中国の反対を押し切って在韓米軍のTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)配備を容認したことへの報復と見られています。

 中韓スワップは韓国が通貨危機に陥った2008年12月に結んでもらい、2回にわたって延長してきました。現在の限度額は3600億人民元――548億ドル相当です。韓国の結ぶ2国間スワップ総額の70%強を占めていましたから、韓国紙は大騒ぎしています(「韓国の通貨スワップ」参照)。

韓国の通貨スワップ(2017年10月11日現在)
相手国 規模 締結・延長日 満期日
中国 3600億元/64兆ウォン(約548億ドル)終了 2014年
10月11日
2017年
10月10日
豪州 100億豪ドル/9兆ウォン(約78億ドル) 2017年
2月8日
2020年
2月7日
インドネシア 115兆ルピア/10.7兆ウォン(約85億ドル) 2017年
3月6日
2020年
3月5日
マレーシア 150億リンギット/5兆ウォン(約36億ドル) 2017年
1月25日
2020年
1月24日
CMI<注> 384億ドル 2014年
7月17日
<注1>CMI(チェンマイ・イニシアティブ)は多国間スワップ。IMF融資とリンクしない場合は30%まで。
<注2>カッコ内は最近の為替レートによる米ドル換算額
資料:韓国各紙

 北朝鮮の核問題が煮詰まって資本逃避が始まっている時だけに、専門家は危機感を強めています。朝鮮日報の趙儀俊(チョ・ウィジュン)ワシントン特派員は「『北の核危機』発の金融危機」(10月8日、韓国語版)で以下のように書きました。

CDSが急謄

  • トランプ(Donald Trump)大統領と北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相が国連総会で言葉の応酬を続けた8月18日から23日まで、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の米国版では北朝鮮関連のニュースが3回も1面に載り、うち2回はトップニュースになった。
  • 海外メディアは北朝鮮の危機の中でも韓国経済が堅調であることを認めていたが、一転して韓国危機説が取り上げられれば、市中銀行の資金調達がすぐに行き詰まりかねない。

 朝鮮日報は社説でも資本逃避の問題を取り上げました。「見過ごせない外国人の債券大量売り」(9月28日、韓国語版)です。その書き出しを翻訳します。

  • 今週(9月24日から始まった週)に入り、2日間で外国人投資家が3兆ウォン(約2980億円)の債券を売った。史上最大の売りだ。
  • まだ、本格的な「韓国売り」(外国人の資本逃避)と見ることはできないが、朝鮮半島リスクが高潮する状況の中で起きたことだけに、見過ごすことはできない。
  • 国の不渡りの危険度を示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムも19カ月ぶりに最高値を記録した。

外交の失敗が国恥呼ぶ

韓国はどうするのでしょうか。

鈴置:これまでの通貨危機時には日本や米国にスワップを付けてもらい――信用供与を受けて、しのいできました。でも今や、日米との関係が悪化。頼める雰囲気にはありません。

 中央日報のイ・サンリョル国際部長は「また危機がくれば日米は通貨スワップに応じるのか」(10月2日、日本語版)で「次の危機は自力で克服することになるかもしれない」と国民に覚悟を求めました。以下が書き出しです。一部、要約しています。

  • 朝鮮戦争以来の国難であった通貨危機(1997年)から20年。当時、外国人の資金は一気に流出し、外債は満期が延長されなかった。我々は日本や米国に支援を求めた。
  • しかしクリントン(Bill Clinton)政権は金泳三(キム・ヨンサム)政権に「IMF(国際通貨基金)で解決策を見いだすべきだ」として取り合わなかった。林昌烈(イム・チャンヨル)副首相は玄界灘を渡って三塚蔵相に支援を頼んだが、門前払いされた。

 当時も韓国は米国との関係を悪化させていました。イ・サンリョル部長は外交の失敗がIMF救済という国恥につながったことを韓国人に思い起こさせたのです。

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「「14年前のムーディーズ」に再び怯える文在寅」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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