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「14年前のムーディーズ」に再び怯える文在寅

韓国の左派政権を「通貨」で脅す米国

2017年10月12日(木)

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通貨危機は日本のせい

自明のことをわざわざ書く必要があるのでしょうか。

鈴置:韓国では「1997年の通貨危機は日本が突然、資金を引き揚げたから起きた」との認識が一般的です。

 危機のたびに日本にそう言い募ってはスワップを付けてもらったので、事実とかけ離れた認識が定着したのです。そのためでしょう、この記事は「本当は怖い米国」について筆を進めました。

  • 韓国はIMF救済金融を使うことにしたが、外国人の離脱は止まらなかった。金大中(キム・デジュン)次期大統領が当選直後に報告を受けた1997年末の外貨準備高推定額はマイナス6億ドルからプラス9億ドルで、デフォルト(債務不履行)の一歩手前だった。
  • 金大中次期大統領はデービッド・リプトン(David Lipton)米財務次官の前で「面接試験」を受け、整理解雇や敵対的M&A(企業の合併・買収)など「IMFプラス改革」を約束した。ようやく米国はIMFと西側12カ国を動かして100億ドルの早期支援を決めた。

IMF救済が反米の原点

 通貨危機の最中に誕生した金大中政権は韓国初の左派政権でした。IMFの救済条件は国民に大きな痛みをもたらすものでしたから、前政権が受け入れたIMF救済を左派政権が拒否するのではないかと米国は疑って「面接」を実施しました。

 さらにはIMFの救済条件には含まれない「IMFプラス改革」も飲ませ、韓国経済をコントロールしたのです。その頃、知日派の識者から「IMFは(絶対的権力を振るった)GHQですよ」とこぼされたものです。

 一連の「改革」によって金融機関が抱える不良債権は政府が引き受け、健全になった大手銀行はほぼ欧米資本が買収しました。現在の韓国の反米感情の原因の1つにこれがあります。

 韓国人は不況と失業の苦難に堪え、短期間で危機を乗り越えました。一方、金大中政権は2000年6月に初の南北首脳会談を実現。米国は苦い顔をしてそれを眺めていました。

 首脳会談実現の背景には、この危機で高まった「米国一辺倒ではダメだ。同じ民族同士が手を結ばねばならない」との韓国人の思いがありました。

 なお、この首脳会談を実現するために韓国は2億ドルもの裏金を北朝鮮に払ったうえ、開城工業団地を設立し米ドルを送り続けることになりました。金大中政権は北の核武装に加担したのです。

「怖い顔」見せた米国

米国は韓国の左派政権を通貨で威嚇する――とのことでしたが(「怒るトランプは『米韓FTA破棄』を命じた」参照)。

 左派の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権にも、文在寅(ムン・ジェイン)政権に対しても威嚇しています。あまり表面化しませんが、時に「米国の怖い顔」を垣間見ることができます。

 米国のアジア専門家、マイケル・グリーン(Michael Green)CSIS上級副所長が中央日報に「トランプの最近の発言と韓国大統領選挙」(5月5日、韓国語版)を寄稿しました。同じ日の日本語版でも読めます。

 今回の韓国大統領選挙の直前に載せた記事で「政権を握ったら反米・反日公約をおろせ」と文在寅氏に要求したのです。以下、ポイントです。

  • 文候補はTHAADの迅速な配備に批判的だ。彼は慰安婦問題をめぐる韓日両国の合意を再交渉しようとする。米国だけでなく民主世界の多くの国が平壌に圧力を加えているこの時期に、北朝鮮に対するより前向きな接近を約束した。
  • しかし文候補はトランプ大統領に比べると選択の幅がもっと広い。トランプ大統領は選挙キャンペーン期間、当選後に変えるのが難しい公約をした。
  • 私はホワイトハウスで仕事をした当時、文候補を観察する機会があった。青瓦台(大統領府)秘書室長だった彼は理念的というより実用的な人物だ。

 「文候補は選択の幅が広い」とは「公約をおろせ」の外交的な表現です。英語版(5月8日)の見出し「A Moon-Trump clash is unlikely」(文在寅はトランプと衝突はしないだろう)も「トランプと衝突するな」との意味でしょう。

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「「14年前のムーディーズ」に再び怯える文在寅」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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