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韓国も核武装か、中国に走るか

「北の核」に背を押される南

2016年1月6日(水)

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 北朝鮮が「1月6日10時(現地時間)、初の水爆実験を行った」と発表した。4回目の核実験となる。北朝鮮は“核保有国”への道をさらに一歩踏み出した。韓国も核武装に走るか、あるいは中国に急接近する可能性が出てきた。

「核選択権」を宣言しよう

 北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは日本時間1月6日12時半から「特別重大報道」として、「6日10時(現地時間)に北東部で初めての水爆の実験を行った」と発表した。

 韓国では、北朝鮮の核に対抗し自らも核武装すべきだとの意見が一気に高まるだろう。4回目の核実験の前から、保守派が核武装を主張し始めている(「ついに『核武装』を訴えた韓国の最大手紙」参照)。

 2015年5月21日には最大手の保守系紙、朝鮮日報の楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹が、署名コラム「金正恩も、恐れさせてこそ平和を守る」(韓国語版)で「核武装」を訴えた。

 厳密に言えば、米国の核で守られないことが確認された瞬間に韓国も即座に核武装すると宣言しておく「核選択権」の主張だ。宣言時期は「北が4回目の核実験を実施し、核ミサイルの実戦配置が確認された瞬間」を想定している。

 なお、「核選択権」に関しては拓殖大学の矢野義昭客員教授が詳しい(「米国も今度は許す?韓国の核武装」参照)。

若い独裁者に「核抑止」は働くか

 この記事が掲載される少し前の5月12日には保守運動の指導者、趙甲済(チョ・カプチェ)氏が同様の「核選択権」を唱える記事「核ミサイル実戦配備に対応する政策を国民投票に付せ!」(韓国語)を自らが主宰するネットメディアに掲載した。

 趙甲済氏は「国民投票にかけることで核選択権の権威を増そう」とも主張した。さらに「必要なら核拡散防止条約(NPT)を脱退する権限を政府に付与すべきだ」と訴えた。韓国の保守指導層は「核選択権」の合意を固め終えた感がある。

 韓国は米国の核により守られていることになっている。北朝鮮が韓国を核攻撃すれば、米国は直ちに北に核で反撃する、との約束だ。論理的には、米国の核による報復を恐れ、北朝鮮は韓国を核で攻撃しないと想定されている。

 しかし、若い独裁者に「核抑止力」は働かないのではないか、と韓国人は懸念する。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が正常な判断力を持つのか、あるいは彼が非合理的な判断を下した時に側近が止められるかは不明なのだ。

 金正恩率いる北朝鮮なら、米国から核攻撃を受ける可能性を無視して南を核攻撃するのではないかとの恐れである。

 となると、そんな非合理的な国からグアムや本土を核攻撃されるリスクを冒してまで、米国が韓国をちゃんと守ってくれるのか――と韓国人は疑う。

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「中国の尻馬」にしがみつく韓国

2015年9月3日、朴槿恵大統領は中国・天安門の壇上にいた。米国の反対を振り切り、抗日戦勝70周年記念式典に出席した。

10月16日、オバマ大統領は、南シナ海の軍事基地化を進める中国をともに非難するよう朴大統領に求め、南シナ海に駆逐艦を送った。が、韓国は対中批判を避け、洞ヶ峠を決め込んだ。韓国は中国の「尻馬」にしがみつき、生きることを決意したのだ。

そんな中で浮上した「核武装」論。北朝鮮の核保有に備えつつ、米国の傘に頼れなくなる現実が、彼らを追い立てる。

静かに軋み始めた朝鮮半島を眼前に、日本はどうすべきか。目まぐるしい世界の構造変化を見据え、針路を定める時を迎えた。

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』『「独り相撲」で転げ落ちた韓国』に続く待望のシリーズ第7弾。12月15日発行。

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「韓国も核武装か、中国に走るか」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官