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ルビコン河で溺れ、中国側に流れ着いた韓国

木村幹教授と韓国の「右往左往」を読む(1)

2015年10月29日(木)

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 米中間で右往左往する韓国。迷走の行方を神戸大学大学院の木村幹教授と読む(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

2015年の天安門事件

木村:9月3日の“天安門事件”――。この影響は予想外に大きかったと思います。軍事パレードを参観した朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は、習近平主席、プーチン大統領と北京・天安門の楼上に並びました。

9月3日、天安門の壇上で演説する習近平主席。向かってその右下にロシアのプーチン大統領、左下にはカザフスタンのナザルバエフ大統領。3人に取り囲まれるように座る朴槿恵大統領(写真:ロイター/アフロ)

 楼に上がったのはほとんどが、米欧や日本の目から見れば、民主主義的とは言い難い国のトップ。いわゆる旧西側の首脳は一切、参加しない中で、韓国だけが大統領を送った形になりました。

 中ロ韓首脳のスリーショット映像は米国の専門家にも大きなショックを与えました。彼らの意識に「韓国の中国傾斜」という印象を焼き付ける結果になりました。

 米韓首脳会談(10月16日)の直前、私はカーネギー平和財団(Carnegie Endowment for International Peace)のシンポジウムに参加するためワシントンを訪れました。

 討論の場で、あるいはその前後の非公式な場で、米国の外交専門家が韓国の専門家に対し「いったい、朴槿恵政権は中国をどう考えているのか」と問い詰めるのを何度も目撃しました。

 米国の専門家はそれぞれの組織で「中韓関係はどうなっているのか?」という宿題を貰っていて、レポートを上げなくてはならない状態になっているのかな、と思ってしまう雰囲気でした。

「傾中論」を避けたい韓国

鈴置:米国側の追及に対し、韓国の専門家はどう答えましたか?

木村幹(きむら・かん)
神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。最新作の『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房)で第16回 読売・吉野作造賞を受賞した。ホームページはこちら

木村:「中国だけではなく、もっと幅広に話したい」と話を変えようとした政府関係者がいました。「韓国は米中どちらの味方か」というテーマが論点になるのを防ぎたかったのでしょう。

 また韓国からの参加者は口を揃えて「我が国は戦略面では中国に依存する考えはありません。基軸は米韓同盟です」と語りました。「ここは絶対に突っ込まれるだろう」と予想し、韓国側で模範解答を用意していた感じです。

 そして韓国の出席者は次第に「統一」に話を持っていきます。しかしここで、一転して「北朝鮮との関係で中国の影響力に大いに期待しています」と述べてしまいます。

 戦略的に中国に大きく依存していると告白しているも同然で、少し前の発言と完全に矛盾してしまっているのです。思わず苦笑しながら聞いていました。

鈴置:シンポジウムの場で、米国側は統一なり北朝鮮の話題に応じましたか?

ワシントンが突きつける踏み絵

木村:韓国人が声を合わせて「統一」を語っても、米国人はあまり乗ってきませんでした。もっとも、韓国の立場に理解を示す人も少数ですがいました。

 例えば、一緒に壇上に上がった1人が朝鮮半島専門家のヴィクター・チャ(Victor Cha)ジョージタウン大学教授です。彼は「韓国が北朝鮮問題で中国を頼るようになったのは、ある程度自然で理解できる」と説明していました。

 ただ日本、中国でもそうですが今、米国でも北朝鮮問題への関心は薄らいでいます。だからこそ、余計に中韓関係が浮かび上がってしまい「そんなことよりも、中国そのものにどう向き合うのか」という問いが、繰り返し韓国に突きつけられることになりました。

 一言で言えば、ワシントンを訪れる韓国の外交関係者は「中国にどう接するのだ」と踏み絵を踏まされている感じです。

鈴置:朴槿恵大統領だって、オバマ(Barack Obama)大統領から「南シナ海」という踏み絵を突きつけられてしまいました(「蟻地獄の中でもがく韓国」参照)。

木村:もちろん、私が参加したシンポジウムを主催したカーネギー平和財団には、対中ハードライナーが多いため韓国に対してもきつめの姿勢になりがちだった、とは思います。

 しかし、その直後の米韓首脳会談の結果を考えても、ワシントンの雰囲気を率直に反映していたのは間違いありません。

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「独り相撲」で転げ落ちた韓国

安倍首相の米議会演説阻止、日本の世界遺産登録は挙国反対……韓国の執拗な「終わりなき反日」が続く。これまで無関心だった日本人もさすがに首をひねる異様ぶりが際立つ。
事あるごとに日本叩きの共闘を迫られる米国も、もはや「韓国疲れ」。「対中包囲網」切り崩しを狙う中国も、日本の懐柔に動き、韓国は後回し。国内外で「独り相撲」を繰り広げ、韓国は土俵を転げ落ちた。
「二股外交」破綻の先の「中立化」そして「核武装」を見据える韓国が招く北東アジアの流動化。新たな勢力図と日本の取るべき進路を、見通す。

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』に続く待望のシリーズ第6弾。8月17日発行。

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「ルビコン河で溺れ、中国側に流れ着いた韓国」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長