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日韓は「べったり」した昔には戻らない

木村幹教授と韓国の「右往左往」を読む(3)

2015年11月5日(木)

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11月2日、3年半ぶりに日韓首脳会談が行われた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

前回から読む)

 首脳会談は開かれた。でも、日韓は離れていく――と神戸大学大学院の木村幹教授は言う(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

韓国に期待しない日本

日韓首脳会談が11月2日に開かれました。2国間の正式な首脳会談は3年半ぶりです。

木村:今回の会談は、日本と韓国が米中両国の間で異なる道を歩むことを確認するものとなりました。

木村幹(きむら・かん)
神戸大学大学院・国際協力研究科教授、法学博士(京都大学)。1966年大阪府生まれ、京都大学大学院法学研究科博士前期課程修了。専攻は比較政治学、朝鮮半島地域研究。政治的指導者の人物像や時代状況から韓国という国と韓国人を読み解いて見せる。受賞作は『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(ミネルヴァ書房、第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)と『韓国における「権威主義的」体制の成立』(同、第25回サントリー学芸賞受賞)。一般向け書籍に『朝鮮半島をどう見るか』(集英社新書)、『韓国現代史』(中公新書)がある。最新作の『日韓歴史認識問題とは何か』(ミネルヴァ書房)で第16回 読売・吉野作造賞を受賞した。ホームページはこちら

 日本側の発表によると、会談で安倍晋三首相は南シナ海問題――中国の脅威を語りました。しかし韓国側の公式発表は、朴槿恵大統領がどう答えたかも含め、この問題には一切、触れませんでした。

 会談で安倍首相も「南シナ海」では“深追い”しなかったと思われます。韓国とはもはや水面下でさえ、中国の脅威を議論することが難しくなったからです。中国への経済的、軍事的依存を深める韓国は「中国は仮想敵」とは口が裂けても言えない状態です。

 安倍首相は会談前後の記者会見で、かつてはよく使った「韓国とは共通の価値観を持つ」という表現も用いませんでした。努力次第で韓国がこちら側に――米国や日本側に戻ってくると、日本政府がもう、期待していないことの表れだと思います。

また、蒸し返す韓国

「慰安婦」問題では「早期妥結に向け交渉を加速すること」で日韓は合意しました。関係改善に向け日本も動くように見えます。

木村:韓国が「年内解決」にこだわり、それなりの案も出したので、日本政府はいったんこれに乗ってみることにしたのだと思います。

 「『慰安婦』で日本が言うことを聞かない限り、アベには会わない」と言い張った朴槿恵大統領は、米国の不興を買いました。

 それと同様に、とにかくも開催に漕ぎつけた首脳会談の席上で、安倍首相が「『慰安婦』では一切譲歩しない」と言ったら、今度は日本が米国をはじめとする国際社会の不興を買うでしょう。

 ひょっとすると、日本は「早期解決」のため何らかの譲歩をするかもしれません。ただそれはかつてのような「べったりした」日韓関係に戻るためのものではないでしょう。

 首相が最近よく使うキーワードは「将来の世代に問題を持ち越さない」です。慰安婦問題についてもこれを目標にしているのだと思います。

鈴置:「蒸し返さないとの保証がない限り妥協はしない」ということですね。仮に「慰安婦」できちんと決着をつけられたら、もう韓国にまといつかれないで済むとの思いも見え隠れします。

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「独り相撲」で転げ落ちた韓国

安倍首相の米議会演説阻止、日本の世界遺産登録は挙国反対……韓国の執拗な「終わりなき反日」が続く。これまで無関心だった日本人もさすがに首をひねる異様ぶりが際立つ。
事あるごとに日本叩きの共闘を迫られる米国も、もはや「韓国疲れ」。「対中包囲網」切り崩しを狙う中国も、日本の懐柔に動き、韓国は後回し。国内外で「独り相撲」を繰り広げ、韓国は土俵を転げ落ちた。
「二股外交」破綻の先の「中立化」そして「核武装」を見据える韓国が招く北東アジアの流動化。新たな勢力図と日本の取るべき進路を、見通す。

中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』『中国という蟻地獄に落ちた韓国』『「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国』『日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う』 『「三面楚歌」にようやく気づいた韓国』に続く待望のシリーズ第6弾。8月17日発行。

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「日韓は「べったり」した昔には戻らない」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

日本経済新聞社編集委員

1977年、日本経済新聞社に入社。ソウル特派員(87~92年)、香港特派員(99~2003年と06~08年)などを経て、04年から05年まで経済解説部長。02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員