2018年「北の核」は軍事攻撃か体制崩壊で決着

かすかに残る「核をカネで買う」妥協案

  • 鈴置 高史
  • 2017年12月26日

年末年始の特別企画として、日経ビジネスオンラインの人気連載陣や記者に、それぞれの専門分野について2018年を予測してもらいました。はたして2018年はどんな年になるのでしょうか?

(「2018年を読む」記事一覧はこちらから)

12月12日、ティラーソン国務長官は、MADが成り立たない北朝鮮には核を一切持たせないと言明した。(写真:AP/アフロ)

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 北朝鮮の核問題の行方はほぼ2つに絞られた。米国が軍事攻撃して核を除去するか、金正恩(キム・ジョンウン)体制が崩壊するか――である。いずれにせよ2018年中に決着する可能性が高い。

中ソと異なり共存できない

 トランプ(Donald Trump)大統領の国連演説(9月19日)を通じ、米国は「北朝鮮の核武装はいかなる形であっても認めない」姿勢を明確に打ち出した(「北朝鮮に『最後通牒』を発したトランプ」参照)。

 もし北朝鮮がテロリストに核を売らないと約束すれば、あるいは、米国まで届くICBM(大陸間弾道弾)を開発しなければ、核武装を黙認する、との構想がワシントンで語られたこともあった。しかしトランプ大統領はそうした妥協策をはっきりと否定したのだ。

 妥協案の背景には「核保有国のソ連や中国とも米国は共存した。核を持つ北朝鮮ともできないはずがない」との理屈がある。だがトランプ政権は北朝鮮を、金正恩という異常な指導者に率いられる共存できない存在と見なした。

 韓国での国会演説(11月8日)でトランプ大統領は、数々の例をあげて北朝鮮の人権蹂躙を非難し「狂信的カルト集団」と規定した(「トランプ大統領の韓国国会演説のポイント(1)」参照)。

■トランプ大統領の韓国国会演説(2017年11月8日)のポイント(1)

北朝鮮の人権侵害を具体的に訴え

  • 10万人の北朝鮮人が強制収容所で強制労働させられており、そこでは拷問、飢餓、強姦、殺人が日常だ
  • 反逆罪とされた人の孫は9歳の時から10年間、刑務所に入れられている
  • 金正恩の過去の事績のたった1つを思い出せなかった学生は学校で殴られた
  • 外国人を誘拐し、北朝鮮のスパイに外国語を教えさせた
  • 神に祈ったり、宗教書を持つクリスチャンら宗教者は拘束、拷問され、しばしば処刑されている
  • 外国人との間の子供を妊娠した北朝鮮女性は堕胎を強要されるか、あるいは生んだ赤ん坊は殺されている。中国人男性が父親の赤ん坊を取り上げられたある女性は「民族的に不純だから生かす価値がない」と言われた

北朝鮮の国際的な無法ぶりを例示

  • 米艦「プエブロ」の乗員を拿捕し、拷問(1968年1月)
  • 米軍のヘリコプターを繰り返し撃墜(場所は軍事境界線付近)
  • 米偵察機(EC121)を撃墜、31人の軍人を殺害(1969年4月)
  • 韓国を何度も襲撃し指導者の暗殺を図った(朴正煕大統領の暗殺を狙った青瓦台襲撃未遂事件は1968年1月)
  • 韓国の艦船を攻撃した(哨戒艦「天安」撃沈事件は2010年3月)
  • 米国人青年、ワームビア氏を拷問(同氏は2016年1月2日、北朝鮮出国の際に逮捕。2017年6月に昏睡状態で解放されたが、オハイオに帰郷して6日後に死亡)

「金正恩カルト体制」への批判

  • 北朝鮮は狂信的なカルト集団に支配された国である。この軍事的なカルト集団の中核には、朝鮮半島を支配し韓国人を奴隷として扱う家父長的な保護者として指導者が統治することが宿命、との狂った信念がある

 核兵器を持つ国同士が厳しく対立したからといって、必ずしも核戦争は起きない。相手を先制攻撃しても核で反撃されたら我が身も滅びる――と指導者が考えるからだ。核による均衡、専門用語で言えば「相互確証破壊」(MAD=Mutual Assured Destruction)である。

 だがMADは「相手も自国民の被害に思い至り、合理的に考えて先制核攻撃はしてこないだろう」と双方が確信した時に成立する。

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