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ヒトの脳はどのように時間を知覚しているのか

東京大学 認知神経科学・実験心理学 四本裕子(3)

2017年3月11日(土)

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目で見ているものが「実際」とは違って見えてしまうことを指す「錯視」。この錯視を含め、見たり聞いたり考えたりしているときの脳の活動を測定して、「時間の知覚」「多感覚統合」「脳の性差」など、人間の内なる活動のメカニズムを探る四本裕子先生の研究室に行ってみた!(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 コンピュータのディスプレイには、単純な丸い図形が浮かんでいる。

 その「丸」が画面に出ている時間がどれくらいかというのが、あらかじめ与えられている問いだ。

 最初に提示される画面では、図形が何秒か継続的に提示されたあとで消える。

 次に、同じ図形が点滅してから消えるのを見る。

どちらが長い?
単なる「丸」に続いて点滅する「丸」が見えます。※明るい場所で、画面から十分に離れてご覧ください。(提供:四本裕子)

 さて、どちらの時間が長かったか。

 後者の点滅する図形の方が、明らかに長く提示されていた。

 しかし、実際には、提示された時間は同じだと知らされる。

 結構、衝撃的だ。

時間が歪む

 錯視に似ているが、単純に錯「視」というわけでもなかろう。むしろ、時間知覚における錯覚、というのがしっくりする。

 なぜ、チカチカ点滅するだけで、時間が長く感じるのか。謎だ。こんな単純なことで、ぼくたちが感じる「時間」が変わってしまうなんて!

「時間知覚」を研究テーマのひとつとする東京大学大学院総合文化研究科准教授の四本裕子さん。

「だいたい、1.2から1.3倍くらい長くなったと感じるみたいです」と四本さん。

 点滅だけで時間知覚が2割、3割長くなる。

「これ自体はよく知られた現象で、いろんな人が報告しているんですが、じゃあ、なぜ、何でチカチカすると長く見えるのっていう説明には、いろんな説があるんですね。1つは、チカチカすると、そこに注意が向いて、自分の心的資源がより多く費やされるので、長く見えるんだとか。でも、わたしは、それじゃつまんないなと思って。なぜ時間が歪むのか、神経活動レベルで説明したいと思ったわけです」

コメント7件コメント/レビュー

20世紀ではハイデッガーのような哲学者の主題も、今や脳科学の研究対象にまで昇華されたかのような印象。とは言ってもマダマダ。
時間という次元は非常に特殊な次元である。3次元世界とは異なり、時間は不可逆的に流れている。人間存在にとって、時間とは過ぎ去った過去と現在という時間差でしか認識することができない。光を基準とすれば、時間が一定のスピードで流れていることはわかるが、人間の知覚では、「主観」的な時間の流れしか認識できない。視覚は3次元を知覚するが、時間感覚は、ある時点で知覚された像と現在の像の比較ということになる。脳はその二つの時点間をつなぐ処理をすることで時間の経過を知ることになる。
こう考えて、サヴァン症候群を思い至った。彼らは瞬間に写真のように記憶に焼き付ける。一方、通常人は位置関係を含めてコンテクストで記憶する。画家に立ち現れるように、独特な像が自身に現れ、表現されることさえある。つまり、サヴァン症候群にあっては時間がないのではないかと。
文中で、視覚と聴覚の時間感覚の違いが言及されていたが、視覚と聴覚の知覚のされ方に大きく影響されていると思う。光である視覚は瞬間であるのに対して、聴覚は瞬間では無である。音は時間が流れて初めて知覚され、意味を持ってくる。この同時進行系の認識過程が影響するように思う。
まあ、思いつきです。(2017/03/21 03:30)

「研究室に行ってみた」のバックナンバー

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「ヒトの脳はどのように時間を知覚しているのか」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

20世紀ではハイデッガーのような哲学者の主題も、今や脳科学の研究対象にまで昇華されたかのような印象。とは言ってもマダマダ。
時間という次元は非常に特殊な次元である。3次元世界とは異なり、時間は不可逆的に流れている。人間存在にとって、時間とは過ぎ去った過去と現在という時間差でしか認識することができない。光を基準とすれば、時間が一定のスピードで流れていることはわかるが、人間の知覚では、「主観」的な時間の流れしか認識できない。視覚は3次元を知覚するが、時間感覚は、ある時点で知覚された像と現在の像の比較ということになる。脳はその二つの時点間をつなぐ処理をすることで時間の経過を知ることになる。
こう考えて、サヴァン症候群を思い至った。彼らは瞬間に写真のように記憶に焼き付ける。一方、通常人は位置関係を含めてコンテクストで記憶する。画家に立ち現れるように、独特な像が自身に現れ、表現されることさえある。つまり、サヴァン症候群にあっては時間がないのではないかと。
文中で、視覚と聴覚の時間感覚の違いが言及されていたが、視覚と聴覚の知覚のされ方に大きく影響されていると思う。光である視覚は瞬間であるのに対して、聴覚は瞬間では無である。音は時間が流れて初めて知覚され、意味を持ってくる。この同時進行系の認識過程が影響するように思う。
まあ、思いつきです。(2017/03/21 03:30)

「変化があるほうが退屈しないから短く感じるってだけじゃないかなぁ」と
思って読み始めたが、「聴覚では逆」というところまで来て、
「逆じゃないだろ」と思ったときに、自分が読み間違えていたことに気づいた。

先にコメントされたかたのなかに、同じに感じた人や、チカチカしたほうが
長く感じる人もおられたが、わたしもやはり、本論が前提とする感じかたを
していないタイプの人類なのだ。

(ちなみに私自身は「同じ」と思った。そしてきっと「普通の人」は
チカチカしたほうが短く感じるんだろうなと思って読み進めたのだ)。

ほんと、この問題、もしかすると人によって全然違うのかもしれませんよ。
朝方夜型、右利き左利き、猫耳乾燥耳の人が遺伝的に全然違うベースを持つ
のと同様、本論が前提とする感じかたではないタイプの人もいるんじゃないか
と思うんですけど、どうでしょうね。(2017/03/18 20:34)

あははははは。
わたしは実験心理ではなく社会心理の出なんですが、うーん、つまらない会議の時間を短く感じさせるよりも会議のほうを面白くしたらいいんじゃないかという方向で考えます。(笑)
もちろん時間知覚のメカニズムに働きかけて錯覚?正覚?させることはかまわないと思いますけれども、それはたぶん「面白い」という感覚にはならないと思うので面白くないですよ。
そうこうしているうちに会議対参加者のAI化が進み、人間サマはもっと面白いことに時間を使おうぜ、となるのではないでしょうか。(2017/03/13 13:39)

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