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心に残った「死」の展示について

国立歴史民俗博物館 日本の葬儀と死生観 山田慎也(6)

2016年5月21日(土)

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いま日本の葬儀が急速に変わりつつある。と同時に「死」の受け止め方も変容しており、日本の葬儀と死生観はある意味で混乱期にあるという。民俗学の立場から、日本の葬儀と死の受容を見つめ続ける山田慎也先生の研究室に行ってみた!

(文=川端裕人、写真=内海裕之)

国立歴史民俗博物館。
[画像のクリックで拡大表示]

 山田さんが勤務する国立歴史民俗博物館は、その名の通り国立の博物館なので、大きな常設展を持っている。第1から第6まである展示室のうち、第4展示室が「民俗」をテーマにしたものだ。平成25年3月にリニューアルされたばかりなので、新しい民俗学のありようを示しており、新鮮だ。

形を変えつつ脈々と

 たとえば、エントランスから入ったところには、「2009年の年末にデパートで販売されていたおせち料理の複製」が展示されている。「デパートのおせち」のどこが民俗学なのか、とこれまでのイメージからするとピンと来ないかもしれない。でも、展示解説によれば、「現代社会における民俗について考える観点から、産業開発や消費文化の影響を受けつつ変貌する民俗」ということだ。今回、山田さんから伺った葬儀の話も、遺影の話も、まさにそういうタイプの民俗学だった。

[画像のクリックで拡大表示]

 おせち料理といえば、日本の正月にかかわる伝統であり、それがデパートで売られている様子を調べてどうして民俗学? というふうな気もするかもしれないが、そもそも、おせち料理が今のようなさまざまな料理の重詰めになったのは、明治時代以降だし、それが普及したのは第2次世界大戦以降、デパートの影響もあったと聞いたことがある。民俗は変化するものであり、その変化のダイナミクスを追うのも民俗学だと、高らかに宣言するコーナーのように思えた。

 以下、そのような視線で、山田さん自身が関わった展示を見る。たくさんのトピックの中から、心に残ったものを取り上げるので、まとまりがなくなるかもしれないが、「こんなこともある」という認識は、将来を再編成(リアレンジ)する時に有益なはずだ。唯一無二、絶対無敵の「伝統」があるわけではないけれど、形を変えつつ脈々と流れていくものはあるかもしれず、ひたひたと感じ入った部分が伝わればと思う。

もちろん、古典的な民俗学の展示も充実している。こちらは「おそれと祈り」の「妖怪の世界」のコーナー。
[画像のクリックで拡大表示]
ナショナル ジオグラフィック日本版2016年4月号でも、独特な葬儀と死生観をもつトラジャの特集「インドネシア 亡き家族と暮らす人々」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。

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「研究室に行ってみた」のバックナンバー

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「心に残った「死」の展示について」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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