• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

世界の主流は「薬物の非犯罪化」

国立精神・神経医療研究センター 薬物依存症 松本俊彦(5)

2017年6月10日(土)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

覚せい剤をはじめ、違法な薬物の事件報道が時おり世間を騒がせる一方で、薬物依存症は治療が必要な病気でもある。それはギャンブル依存症などでも変わらない。では、依存症はどんな病気で、どんな人がなりやすく、どうやって治すのだろうか。日本における薬物依存症の治療と研究のパイオニアである松本俊彦先生の研究室に行ってみた!(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 日本では、覚せい剤の乱用が他の違法薬物と比べて高水準で推移し、なかなか減らない。検挙者ではなく、逮捕されていない乱用者を含んだ統計はないが(把握できていないのだから当然だ)、乱用者の数はおそらく数十万人におよぶのではないかという見積もりもある。違法ではないアルコールについては、明らかにそれでは済まないだろう。

 治療のことを書いた後で、では、治療をしなければどうなるのか、という点に触れておきたい。薬物依存という病気の転帰(行き着く先)は、知っておいた方がいいと思うのだ。

魂を殺す

「やっぱり依存症の人たちの死亡率はすごく高いです。中でも死因として、アルコールの場合には死因のトップ2は肝硬変と心不全です。3番目は自殺なんですね。他の薬物の場合は、アルコールほど体はボロボロにならないんですけど、やっぱり一番多いのは、事故だか自殺だかよくわからないパターン。もちろん自殺も多いですよ。他のメンタルヘルスの問題、うつ病なんかに比べても自殺が多い疾患だなと思っています」

「依存症の人たちの死亡率はすごく高い」と松本さんは言う。

 がんのように肉体的な部分が原因となって死に至るというよりも、心を病んで死に至る。薬物は魂を殺す病気をもたらす。

 しかし、ここまでいかずとも、依存症が放置されると社会的にひどいことになる。

「やっぱり行動がおかしくなってきますし、隠し事や嘘が多くなってくるし、本人も罪悪感があるから、使っちゃった日は家族にばれると思って帰らなくなったりするんですよ。家族からすると、やっぱり一番傷つくのは、嘘をつかれてること。何をしているかわからないっていうのは、一番不安だと思うんですよね」

 薬物依存は家族を引き裂く。友人関係を破綻させる。人の間で生きていくのが人間だとしたら、たしかにその部分が壊れてしまう。

薬物依存症が治療すべき病であることは間違いない。

 だから、やはり、家族・知人の中に、薬物依存になっている人がいたら、専門治療を受けられる医療機関になんとかつなげられるといい。精神にかかわる治療は、本人が治療を受けたいと思わなければまず成功しないというのだけれど、少なくとも、松本さんのSMARPPや、地域ごとに編集された別バージョンの治療プログラムは、今では、都道府県や政令指定都市の多くで、少なくとも1つの医療機関か精神保健福祉センターで受けることができる。医療機関では保険がきくし、精神保健福祉センターの場合にはその地域の住民であれば無料だ。

 一応、心配する人が多いと思うので、覚せい剤の依存症の人が、医療機関に行ったらそこで通報されないのか聞いた。

コメント10件コメント/レビュー

これに類似した問題で、たばこの件について、
既に作っている喫煙ルームと副流煙を吸い込む機器を撤去するのは流石にやりすぎだと思う。
外に出て吸えというのは、排ガス垂れ流しにするに等しいし、
家事や吸殻ゴミ等含めて周囲に迷惑を押付けるだけだ。
税金取るばかりでなく、一定量の利用者が居る前提で、
逆に煙を処理して出す喫煙ルームを、
一定数以上の人間が利用する施設には用意する事を義務付ける代わりに税金や、
タバコ会社からの金でその施設を維持運営するというのはどうだろう?
喫煙所で吸わないマナーの悪い人間を減らす事もできるし
煙を処理する事で吸わない人への配慮、処理施設のない喫煙所より副流煙の健康害が少ない
税金を払う事に意義を見出し易い。(2017/06/17 21:08)

「研究室に行ってみた」のバックナンバー

一覧

「世界の主流は「薬物の非犯罪化」」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

これに類似した問題で、たばこの件について、
既に作っている喫煙ルームと副流煙を吸い込む機器を撤去するのは流石にやりすぎだと思う。
外に出て吸えというのは、排ガス垂れ流しにするに等しいし、
家事や吸殻ゴミ等含めて周囲に迷惑を押付けるだけだ。
税金取るばかりでなく、一定量の利用者が居る前提で、
逆に煙を処理して出す喫煙ルームを、
一定数以上の人間が利用する施設には用意する事を義務付ける代わりに税金や、
タバコ会社からの金でその施設を維持運営するというのはどうだろう?
喫煙所で吸わないマナーの悪い人間を減らす事もできるし
煙を処理する事で吸わない人への配慮、処理施設のない喫煙所より副流煙の健康害が少ない
税金を払う事に意義を見出し易い。(2017/06/17 21:08)

非犯罪化した場合、今の煙草と同じように一定数の使用者は許容するということになる。使用人数の水準が高いところから下げるということでは、非犯罪化は効果的なのはわかるが、日本の現状に適用させると使用者は確実に増えると思う。それが果たしていいのか?(2017/06/15 15:41)

ギャンブル依存症自体が大問題であるにもかかわらず、警察では「パチンコは賭博とは言えない、換金ができるなんて聞いたこともない」という認識。
一方で、海外で合法化の進む大麻でさえ厳罰ではバランスが悪いですね。
「問題解決」を目的にするなら、罰するよりも治療が優先だ、というのは賛成ですね。
罰しなくていいというわけじゃない、無意味なことより意味のあることをしよう、ということです。
海外と日本の違いなど、読者の突っ込みどころにもフォローがあって、わかりやすい良い記事だと思いました。(2017/06/15 15:33)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

面白い取り組みをしている会社と評判になれば、入社希望者が増える。その結果、技能伝承もできるはずだ。

山崎 悦次 山崎金属工業社長