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イルカは人と同じようにものを考える?

東海大学 イルカの認知科学・感覚生理学 村山司(3)

2015年6月27日(土)

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イルカと話しがしたい――。高校生の時に映画「イルカの日」を見てそう思って研究者を志し、20年以上イルカと話す研究を一歩一歩進めてきた東海大学海洋学部の村山司さん。そのパートナーであるシロイルカの“ナック”と村山さんに会いに水族館へ行ってみた!

(文=川端裕人、写真=的野弘路)

「しゃべる(真似をする)シロイルカ」のナック。

 イルカを含む鯨類は、海のほ乳類だ。

 祖先は陸上生活をしていたのだが、数千万年前、海に進出した。

 最近、科学の世界では、鯨類の祖先がウシやシカ、ラクダなど偶蹄類と共通であることが常識になっている。分子生物学的な証拠と化石証拠が両方出ているので、たぶん覆されることはない。現存の陸上のほ乳類としてはカバが一番近い。鯨類と偶蹄類をまとめて言う時、「鯨偶蹄類」という言葉まで使われる。つい10数年前までは、メソニクスという肉食動物が祖先ということになっており、鯨類の本を読むと復元図まで描かれていたので、あの頃の知識のままだと、「え?」と思うだろう。

三段論法は共通?

 さて、数千万年にわたってまったく違う環境で暮らしてきたヒトとイルカが「同じふうに考えているのか」というのは、興味がつきない問題だ。

 もちろん、人と人ですら考え方はそれぞれだし、イヌやネコのように人と近い場所で暮らす動物ですら考え方が同じはずがない。でも、基本的なこと、たとえば、数を区別できたり、論理的な能力などが違うと大変だ。例えば1と2を区別できるのだろうか。AならBで、BならCならば、AならばCである(いわば三段論法)のような基本的な推論が成り立たなかったりすると、「話をしたい」と思っても、戦略を大幅に変えなければならないかもしれない。

「1995年、96年前後ぐらいですかね、鴨川シーワールドにいるシロイルカのナックを相手にそういう実験を始めました。最初は、ナックが日ごろから目にしているフィンやマスクにアルファベットのRとTを対応づけました。Tは、逆さにしているんですが、それは見間違いを防ぐためです。フィンを見たら、⊥を選びなさい。マスクを見たら、Rを選びなさい、と。それから、今度は、⊥を見たらギリシア文字の兀(パイ)を、Rを見たらΣを選びなさい、というふうにやって、突然、フィンを見せて、ギリシア文字を選ばせる、と。厳密に三段論法というわけではないんですけど、こういうことが分かるかというのは大事なので」

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「イルカは人と同じようにものを考える?」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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