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守るのはゴルフ場だけ? トランプの温暖化政策

オバマ色を一掃、パリ協定も離脱か

  • 馬場 未希

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2016年11月16日(水)

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大統領選の勝利集会に臨んだドナルド・トランプ氏(左)と副大統領に就任予定のインディアナ州知事・マイク・ペンス氏。(写真=ロイター/アフロ)

「気候変動は金のかかるでっち上げ」──。米大統領選で勝利したドナルド・トランプ氏はこう公言する。選挙運動の間も「パリ協定」の発効で世界が温暖化防止へと歩みを進めようとするなか、オバマ政権の温暖化対策と真逆の方針をぶち上げてきた。米国の温暖化対策の行方を、国連交渉で交渉官を務めてきた東京大学公共政策大学院・有馬純教授に聞いた。

トランプ氏が米大統領選を勝ち抜きました。彼の温暖化対策に関する考えは、どのようなものでしょうか。

有馬氏(以下、敬称略):トランプ氏は過去に、「地球温暖化は、中国が米国の競争力を削ぐために作りあげた」であるとか、「我が国はまだ、地球温暖化という“でっち上げ”に巨額の資金を投じているのか?」といった投稿をツイッターに投稿をしています。オバマ政権下で米国に導入された温暖化政策は、大きな転換を余儀なくされそうです。

米国を建て直し、競争力強化へ火力発電に回帰

オバマ政権は、温暖化対策に積極的に取り組んでいました。その前のブッシュ大統領が京都議定書を離脱したのとは対照的に、米国を温暖化対策の国際枠組みに復帰させました。

有馬:オバマ大統領は、温暖化対策や、再生可能エネルギーなどのクリーンエネルギー技術開発に積極的な姿勢をみせていました。その目玉が、石炭火力発電所に厳しい排出規制を適用する「クリーンパワープラン」です。2025年までに2005年比で温室効果ガスを26~28%削減するという、米国の温暖化対策の目標の根幹にもなっています。9月には、共和党優勢の議会の承認を要さない行政協定として温暖化防止の国際的取り決めである「パリ協定」を、中国とともに締結しています。

有馬 純(ありま・じゅん)氏:1982年通商産業省(現・経済産業省)入省。国際エネルギー機関(IEA)国別審査課長などを経て2008年経産省大臣官房審議官地球環境問題担当。2011年日本貿易振興機構ロンドン事務所長、2015年8月から現職。著書に『地球温暖化交渉の真実―国益をかけた経済戦争―』(中央公論新社)、『精神論抜きの地球温暖化対策』(エネルギーフォーラム)。(写真=中島 正之)

翻ってトランプ氏は、米国の温暖化対策をどのように転換させるでしょうか。

有馬:既に締結済みのパリ協定に対しては、離脱の意向を示しています。また、彼のエネルギー政策方針は「米国のエネルギー自給率を100%にするため、国内の化石燃料資源を最大限活用する」というもので、国内の石油や天然ガス、石炭の最大限の開発・利用を推進するというものです。規制緩和を通じて連邦所有地におけるシェールオイル、ガスのフラッキング(水圧破砕法)も推進する立場です。

 石炭を狙い撃ちにしたオバマ大統領肝入りのクリーンパワープランは、廃止となるでしょう。米環境保護庁の権限も大幅に削られそうです。加えて、温暖化防止に米国が投じている予算を1000億ドル削減するとも公言しています。
彼は化石燃料も再生可能エネルギーも原子力も、使えるエネルギー源はすべて使うべきと言っており、石炭使用を抑制し、再エネ使用を促進するといった選別(picking winner)には反対しています。米国の経済を建て直し、国際競争力を強化するために、エネルギーコストの安い化石燃料資源と火力発電を使わない手はないという考えでしょう。トランプ氏の移行チームで環境分野を担当するマイロン・エーベル氏は気候変動懐疑派と言われています。

 注目すべきは、こうしたトランプ氏の考え方は彼独自のものではなく、パリ協定離脱にせよ、クリーンパワープラン廃止にせよ、共和党の選挙プラットフォームと共通していることです。外交、安全保障などについて彼が行ってきた過激な発言については、今後、共和党主流派との協力を深める中で、現実色を強める可能性がありますが、エネルギー・温暖化対策については選挙キャンペーン中の言動から大きな乖離がないと思われます。また現在、1名空席になっている最高裁判事についても、トランプ政権の下で保守派が選任され、将来、共和党政権から民主党政権に移っても温暖化対策推進の制約要因になる可能性があります。

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