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トヨタの新型株、多様な株式の発行に拍車?

導入の背景に株主の「変質」、日本企業の持ち合い解消の受け皿づくりにも

2015年6月19日(金)

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写真:AP/アフロ

 トヨタ自動車は、6月16日に開いた株主総会で、「AA型種類株式」と名付けた新型の種類株発行を決めた。種類株を発行するための定款変更には投票した議決権の3分の2以上、つまり66.66%以上の賛成が必要だったが、約75%の賛成票を獲得した。他の議案では100%近い賛成を得ていたのとは対照的に、25%の反対票が出たわけで、新型株に対する評価は大きく分かれた。

 7月にも発行する新型株は普通株と同様の議決権を持つ。現在の株価より26~30%高い価格で発行、取得した投資家は5年間売却できない代わりに、5年過ぎれば発行価格での買い取りか、普通株式への転換をトヨタに求めることができる。株価の下落リスクを負わない元本保証の株式というわけだ。一方で、配当は発行額の0.5%から毎年上昇して最終的には5年目以降は2.5%になる。前期の配当(年200円)と6月16日株価終値(8395円)で計算すると2.4%だから、値下がりリスクがない分、配当は低いことになる。

 なぜ、トヨタはこうした新型株の発行に踏み切るのか。

 「当社の事業サイクルと株式保有サイクルを合わせた中長期の視点から、株主の皆様によるガバナンス効果を経営に取り入れることで、持続的成長と未来への挑戦に向けバランスのとれた経営を推進する観光を整え、さらなる中長期的な企業価値の向上を目指してまいる所存です」

 16日の総会での決定を受けた発表資料にはこう書かれている。よく分からない表現だが、中長期に株式を保有する株主を作ることで、中長期的に企業価値を上げる経営ができる、としているのだ。

 「新型株はトヨタの未来を株主と切り拓く道だ」と株主総会で豊田章男社長は訴えたという。

 新型株の発行によって長期投資の観点でトヨタ株を保有する個人の安定株主を確保することで、「金融経済情勢に左右されず、技術開発に腰を据えて取り組む」と小平信因副社長も語ったという。

新型株の背景に株主構造の変化

 実は、トヨタにとって、この安定株主の確保が大きな課題になっていた。トヨタの株主構成を見ると、10年前の2014年3月末には国内金融機関が発行済み株式数の47%を保有していた。ところが、これが持ち合いの解消などもあり、2014年には金融機関の保有が31%にまで低下。逆に外国人投資家は19%から30%へと大きく増えた。

 いわゆる「安定株主」として存在してきた金融機関の保有が減り、一方で、外国人投資家が存在感を増しているのだが、外国人投資家は短期的な利益増加や株価上昇を会社側に強く求める傾向が強い。日本企業の経営者にとって、長期的に株式を保有する安定株主の確保が大きな課題になっているのである。トヨタの新型株の背景にはそうした株主構造の変化があったのである。

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「トヨタの新型株、多様な株式の発行に拍車?」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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