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学部新設や定員はなぜ「利権」になるのか

加計学園問題を機に考え直すべきこと

2017年7月7日(金)

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加計学園問題で獣医師の役割が改めてクローズアップされた(写真:アフロ)

なぜ「獣医学部」の新設が必要だったのか

 加計学園の獣医学部新設を巡る問題で、野党は安倍晋三首相が友人の加計孝太郎理事長に頼まれて便宜を図ったのではないかと追及している。文部科学省の前の次官だった前川喜平氏は記者会見で「行政が歪められた」と述べ、学部新設が認められた過程で何らかの政治的圧力が加わったことを示唆した。

 一方で、獣医学部新設を認めた国家戦略特区諮問会議の民間議員たちは会見を開いて、決定プロセスには「一点の曇りもなかった」とした。しかも、新設を加計学園1校に絞ったのは、獣医学部の増加に強く抵抗していた獣医師会に配慮して妥協したもので、加計学園に便宜を図るためではなかった、という。

 果たして、この加計学園問題は、政治が民間に便宜を図った「大疑獄事件」なのだろうか。そもそも獣医学部の新設というのは、政治家が「口きき」するほど、オイシイ話だったのか。

 50年間にわたって獣医学部が新設されなかったことについて、文部科学省の主張は「獣医師は足りている」というものだった。これは日本獣医師会の主張をそのまま受け入れたものと言える。

 獣医師が足りているのだとすれば、獣医学部を新設して獣医が増えた場合、職に就けない人が出てくるはずだ。おカネをかけて入学しても獣医として働く道が開けないのであれば、獣医学部を新設しても学生が集まらない。そんな中で、加計学園はなぜ獣医学部を新設したかったのか。

 全国の大学がこぞって設置した「ロースクール」は、弁護士過多が指摘されて合格者が絞り込まれる中で、どんどん姿を消している。経営的にはロースクール新設は失敗だったということになる。獣医師も足りているというのが本当ならば、加計学園の学部新設は、経営的にリスクの大きい判断だということになる。

 一方で、獣医師は不足している、という見方も根強い。国家戦略特区諮問会議で獣医学部の新設容認の意見を述べていた坂根正弘・コマツ相談役は、鳥インフルエンザなど動物と人間の双方にかかわる病気が広がる中で、日本に獣医師が少ないことが、創薬などの力を落としているとして問題視した。動物と人にまたがる生物分野の医療研究をするには、獣医師を増やす必要があるとしたのだ。つまり、獣医師にはまだまだマーケットがある、と指摘したわけだ。

 どちらの見方が正しいのか。本来ならば、市場原理に任せれば良い話だ。ニーズがないのに学部を増やせば、学生が集まらない。しかも新設する場所は学生人口の多い大都市圏ではなく愛媛県今治市だ。文部科学省や獣医師会が目くじらをたてなくても、早晩行き詰まる。

コメント16件コメント/レビュー

国の認可という「お墨付き」があるから、どんなにレベルの低い教育をしていても
不問にされるというもうひとつの問題がある。別にそれは「三流大学」だけの問題
ではなく、私学の最高峰と言われた、かの「学の独立」の大学も例に漏れない。
通っていた高校の同級生がぼやいていた(喜んでいた?)ことだが、一年の半分が休み
で、学期の半分が休講、学生の半分にはゼミも当たらない。それでも超一流大学卒の
レッテルはもらえるから彼も文句はなかったようだが、国全体の問題としては、
せっかく素材の良い高校生の能力をこんなふうに無駄にしてしまって良いのか、と
私は嘆息したのだが・・・。しかも本稿にあるように、多額の補助金をもらっているなら
尚更のこと!(2017/07/10 21:04)

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「学部新設や定員はなぜ「利権」になるのか」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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国の認可という「お墨付き」があるから、どんなにレベルの低い教育をしていても
不問にされるというもうひとつの問題がある。別にそれは「三流大学」だけの問題
ではなく、私学の最高峰と言われた、かの「学の独立」の大学も例に漏れない。
通っていた高校の同級生がぼやいていた(喜んでいた?)ことだが、一年の半分が休み
で、学期の半分が休講、学生の半分にはゼミも当たらない。それでも超一流大学卒の
レッテルはもらえるから彼も文句はなかったようだが、国全体の問題としては、
せっかく素材の良い高校生の能力をこんなふうに無駄にしてしまって良いのか、と
私は嘆息したのだが・・・。しかも本稿にあるように、多額の補助金をもらっているなら
尚更のこと!(2017/07/10 21:04)

 漸くまともな意見が登場したと受け取っています。一般マスコミとは異なる高級誌の日経ビジネスではもっと早く取り上げて欲しかったものです。
 前川氏発言に端を発し騒ぎが大きくなってきた際、これは文科省という行政官庁と安倍内閣政治の、所詮は行政の内輪もめにすぎないと眺めていました。この設置は本来は間違った判断という本筋の話が最初にあるべき筋のものです。安倍首相と友人加計氏の問題や内閣メンバーの忖度などスキャンダルダネはそれなりに面白いが、長々と大規模に騒ぐものではありません。どう見ても巨大資金が動いているようではなく多数の犠牲者が生じている訳でもなく、小賢しい自己保身的な便宜の話です。
 豊洲市場で施設地下に盛り土が無いという問題が提議され、決定の経緯問題のみ焦点が当たりました。盛り土の下にあった汚染土壌も一緒に除去したのだから、なぜ問題にするのか疑念を抱いていたところ、貴紙のメルマガに構造の解説が取り上げられ理解できました。都の内部の勢力争いの話だと理解できました。今後とも是非、積極的に本当の問題を、それも早期に取り上げて下さい。(2017/07/08 07:24)

自称ジャーナリストの青木理に読ませたい記事です。前川はマスコミが持ち上げる様なヒーローでは無い。(2017/07/07 21:47)

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