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東芝のメーンバンクはなぜ「騙された」のか

第一生命保険や三井住友銀行の株主に説明責任

2015年11月20日(金)

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(写真=陶山 勉)

 大手新聞各紙は、証券取引等監視委員会が近く、巨額の粉飾決算が明らかになった東芝に対して金融商品取引法違反(有価証券報告書などの虚偽記載)の疑いにより、課徴金70億円超の納付命令を出すよう金融庁に勧告すると報じた。また、金融庁は、監査を担当してきた新日本監査法人に対しても、公認会計士法に基づく業務改善命令を出す方針だと報じられている。

 70億円超という課徴金は2005年に課徴金制度が導入されて以降、過去最高の金額という。だが、既に東芝は課徴金を見越して84億円の引当金を計上しており、東芝にとっては「想定内」だ。監査法人も業務停止を回避することで、経営的にはほとんど影響を受けない。総額2248億円、確定していた決算だと2781億円に及んだ前代未聞の巨額粉飾問題は、厳しく断罪されることなく幕引きされる方向へと進んでいる。

 70億円を超える課徴金を課されることになれば、通常なら当時の役員に対して全額の賠償を求める株主代表訴訟が起こるが、東芝は株主の請求を受け入れて会社自身が元役員5人を訴えた。ところが損害賠償請求額はわずか3億円。東芝が設置した「役員責任調査委員会」が出した報告書では、わざわざ「個人的利益を図ったものでも、会社に対して特別に損害を加えようと画策したものでもない」としており、会社と元役員の間の「馴れ合い訴訟」が懸念される。どうやら司法の場でも責任が厳しく問われる可能性は低そうだ。

「粉飾決算」と正式に認定へ

 課徴金を課すに当たり、当局からは有価証券報告書の虚偽記載と認定されることになる見通しである。つまり「粉飾決算」「不正会計」と正式に認定されることになるわけだ。ところが、東芝は今も、「不適切会計」という言葉を使い続けている。つまり「不正」と認めることを頑なに拒絶している。このまま厳しく断罪されることなく問題が済まされれば、反省しない東芝の社内には粉飾の“遺伝子”が残り続けることになるだろう。いずれ似たような不祥事を起こすことになりかねない。

 では東芝は、このまま何事もなかったかのように、存続を続けていくのだろうか。今後、対応が注目されるのは、主要取引先金融機関の対応である。

 リーマン・ショックの後に極度に資金繰りが悪化していた東芝は、2009年5月の取締役会で3174億円の公募増資と1800億円の劣後債発行を決めていた。ところが2009年3月期の税引き前損益が764億円もカサ上げされていたことが判明している。翌期の2010年3月も税引き前利益は272億円の黒字としてきたが、実際には143億円の赤字だったことが明らかになった。粉飾した決算数字を示すことで投資家を欺き、資金調達していたのである。この点は課徴金を課す理由にもなる見通しだ。

粉飾による資金調達で融資を回収

 粉飾をしてまで資金調達しなければならない「綱渡り」の状況をメーンバンクは当然知っていた。2009年3月期決算期末の連結決算ベースでは、社債と長期借入金が合計7767億円、短期借入金も7479億円に達していた。短期借入金は1年前に比べて5000億円増えているが、逆に言えば、金融機関が追加融資に応じていたわけだ。その後、粉飾決算数値を使って調達した資金は、その融資の返済に充てられている。見方を変えれば、金融機関は、東芝の粉飾による資金調達によって、融資を回収したことになる。

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「東芝のメーンバンクはなぜ「騙された」のか」の著者

磯山 友幸

磯山 友幸(いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

ジャーナリスト。1962年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞で証券部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め2011年3月末に独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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