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次世代機の“見直し”で攻めるエアバス

採算性が低い機体を「作らない」という選択肢

2016年6月7日(火)

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 日本の航空機産業は、米国とのつながりをなくして語ることができない。

 全日本空輸(ANA)がローンチカスタマーとなったボーイング787型機は、機体の構造部位のうち、主翼など35%を日本企業が製造している。次世代大型機の777Xは、現行機777と同じ21%を分担する。777Xが787と同等の数字にならなかったのは、ボーイング側の労使問題もあり、主翼を米国で製造することになったためだ。

 国内の航空機産業育成という観点だけではなく、対米関係もあって日本の航空会社はボーイング機を選定することが多かった。しかし、2010年に日本航空(JAL)が経営破綻し、航空機の調達も、まずボーイングありきという姿勢から、マルチソース(複数の調達先)へ変わってきた。

 前回の連載(「ピーク時の需要を“捨てる”ANAとJAL」)で触れたように、ジャンボことボーイング747型機を多用していた日本は、実質的な後継となるエンジンが双発の大型機777を、国内線と国際線に導入していく。そして、777の後継機選びではANAがボーイングの次世代機777X、JALがエアバスの最新鋭機A350 XWBを選んだ。

JALは次世代機として、エアバスの最新鋭機A350 XWBを選んだ(撮影:吉川 忠行、他も同じ)

 ANAもJALも、会社の顔とも言える長距離国際線には、777の航続距離延長型である「777-300ER」という機体を投入している。日本の次期政府専用機にも選定された機体で、座席数はANAが264席(ファースト8席、ビジネス52席、プレミアムエコノミー24席、エコノミー180席)、JALが244席(ファースト8席、ビジネス49席、プレミアムエコノミー40席、エコノミー147席)と、250席前後のレイアウトだ。世界的に見ても、各社の花形路線はこの777-300ERが飛んでいる。

 ANAの後継機777-9Xは、3クラスのメーカー標準座席数が約400席で、JALが導入するA350の長胴型A350-1000は366席。777-300ERの標準座席数は3クラス365席なので、これを基準とすると777-9Xは約10%席を増やせ、A350-1000は同等と言える。

 国際線で華のある飛行機と言えば、ジャンボの最新型747-8や、エアバスの総2階建て超大型機A380を思い浮かべる人もいるだろう。しかし、エンジンが4基あるこれらの機体は、原油価格の高騰後は特殊な機材になった。次の10年を担う長距離国際線の機材となると、エンジンが2基の777XやA350が経済性の観点で選ばれている。

 LCC(格安航空会社)が運航するボーイング737やエアバスA320といった小型機と比べて、長距離国際線用の機材は市場が小さい。しかし1機あたりの価格を比べると、価格表ベースで3倍程度違う。市場規模が小さいとは言え、777-300ERの後継機需要は約1000機あると言われており、単純計算で小型機3000機分のビジネスと言える。

 運航する航空会社だけではなく、機体メーカーにとっても顔と言える大型機。A350を手掛けるエアバスは、ひっそりとラインナップの見直しを進め、現在は777-300ERが一人勝ちの市場で勝負をかける。エアバスはどのように攻めるのだろうか。

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吉川 忠行

吉川 忠行(よしかわ・ただゆき)

Aviation Wire編集長

ライブドアで同業初の独自取材部門「ニュースセンター」立ち上げに参画。ライブドア事件も内側から報じる。退職後はAFP通信社等で取材を続け、2012年2月Aviation Wire創刊。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師