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「値段以外ぜんぶ高級店」、でも本当にウマい?

第35食目 表参道「Mよた」【後編】

2015年8月18日(火)

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 こちらがY氏ご注文の「かしわ天板せいろ」580円。

 イトウの注文は「かき揚げ板せいろ」530円。

 「かしわ天板せいろ」には薬味皿に乗せられた3種のちょい付けアイテムがあった。それらが鶏胸肉の淡白さと響き合って新たな魅力を引き出し、めくるめく天ぷらの歓び世界へと誘ってくれたのですが、「かき揚げ板せいろ」にはこれがない。このまま辛汁(もりつゆ)にかき揚げを浸し、つゆの味を濁すより他ないのだろうか。しかし、よーくみると!

:……これは、天つゆ!?

Y氏:(ボソッ)そーいえばイトウさん、天つゆに気が付かないで注文を誤ったこともありましたっけ。(Kとぶき 後編

:天つゆがついてくるとは思わなかったものでして(汗)。

 Y氏は当人が忘れてしまっていたようなことも覚えて下さっていて誠にありがたい。きっと、また天つゆひとつで大騒ぎして大袈裟な奴だとお思いなのだろう。しかしこの場合、天つゆに驚くのはごくごく自然な反応ではないだろうか。たしかに「Mよた」は普通の立ちそば店ではない。とはいえ、「かき揚げ板せいろ」530円は、そばだけの「板せいろ」480円との差額がたったの50円。それなのに立派なかき揚げが揚げたてで、天つゆまでついてくるのです。驚いて当然だと思うのですが。

 と、かき揚げにばかり注目しておりましたが、一等先に食すべきはかき揚げではない、ゆでたてのそば。それで、きれいにならし盛りにされたそばを箸先で摘まみ上げてみると、

 う、美しい…。

 ういろうのような、白い大理石のような半透明、さざ波のように輝くそばであります。「Mよた」が供するそばは、挽きぐるみ(そばの実を丸ごと挽いて粉にしたもの)だという。しかし、実際にはさらしな粉(そばの実の中心の、ほぼでんぷん質でできた部分を粉にしたもの)も入れているのではないかと自分は踏んでいる。さらしな粉で打ったそばは白い。そして透明感があり、甘みがある。さらには噛み締めたときの歯ごたえに独特の弾力感があり、でんぷん質ゆえの気品が感じられる。そんな風味と儚さが「Mよた」のそばからは感じられる。

 そばをよく見ると外殻の小さな粒が僅かに入り交じる。外殻は加減次第でえぐみを出さず、そばにほんのり野趣溢れる味わいを与える。これも見た目と味を考慮し、意図して入れたものだろう。

 まずはそのまま啜った。
 ずずずっ、ずずうっ。

 んーっ、旨い! 淡白なお味のそばと思いきや、後からふわっとそば独特の芳味が広がる。これは挽きぐるみの粉を使用し、外殻の入れ方に細心していることはもちろん、打ちたてのそばを僅かばかりの間、低温下で保管、熟成により風味を強めているためではないだろうか。

 さあ、そばにつゆを浸けようか。

コメント6

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「「値段以外ぜんぶ高級店」、でも本当にウマい?」の著者

イトウエルマ

イトウエルマ(いとう・えるま)

イラストライター

北海道室蘭市生まれ。桑沢デザイン研究所グラフィック研究科卒。文具メーカーで企画・デザインに携わり、その後フリーに。イラストルポなどを中心にお仕事しております。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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