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ついに迫る農業の臨界点「国産が足りない!」

「報われる農家」の先にあるリスク

2018年1月19日(金)

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国産の農産物の価値が高まっている。

 どう評価すべきなのか、迷うデータが発表された。一見すると、農業の先行きに光が差したように見える。農業所得が2年続けて増えたのだ。だが、要因を考えると、楽観すべきなのかどうか、にわかには判断がつかない。もしかしたら、農業危機が本当に現実になったことを映しているかもしれないからだ。今回は、最近公表された数値をもとに農業の実情を考えてみたい。

「いつか、思い知らせてやりたい」

 データの紹介に入る前に、10年近く前にある農家に言われた言葉に触れておこう。面積が100ヘクタールに達する大規模農家の一言だ。

 「おれたちには食べるものがある。でも、それを売るのをやめたら、どうなるか。そのことを、いつか、思い知らせてやりたい」

 売るのをやめたら、自分の首を絞めるだけではないか。国内で不足すれば、輸入すればいい。そういった反論は百も承知の言葉だろう。彼が言いたかったのは、必ずしも楽ではない農作業を必死にこなしても、農産物価格は低迷し、しかも「農業は保護されている」と批判されることのやり切れなさだ。この言葉は消費者には暴論と響くかもしれない。だが、ここまで極端でなくても、似たような思いを抱いている生産者は少なくないと思う。

 もちろん、一般のサラリーマンを軽く超える収入を得ている農家も多い。彼らは農家と言うより起業家であり、彼らの才覚と努力には特筆すべきものがある。一方で、農業は長年、「息子には継がせたくない」と言われてきた産業であり、就業者数は歯止めの効かない減少のプロセスにある。

 まず、取り上げるべきデータは2つある。農林水産省の昨年末の発表によると、2016年の農業総産出額は9兆2025億円と、2年続けて前年を上回った。農業総産出額は農水省が統計で使う専門用語で、ざっくり言うと、農産物の生産額を指す。この数字は2014年まで長期にわたって減り続けており、2年連続の増加は潮目の変化を予想させる。

 同じ発表資料によると、生産農業所得も2015年、2016年と2年連続で改善した。これもテクニカルタームで、農業総産出額から農薬や肥料代などの経費を引いて、補助金を足した額を指す。農業で、生産者がどれだけ所得を得たかを示すデータだ。これも、長期的に低迷していた。

コメント9件コメント/レビュー

>「おれたちには食べるものがある。でも、それを売るのをやめたら、どうなるか。そのことを、いつか、思い知らせてやりたい」

面白い発言ですね。まあ、その台詞はインフラに従事する全ての経営者が言える事ですが。
自分の農業がどれ程の関係者の協力で成立しているか理解しているんでしょうか。
肥料も農薬も機材もエネルギーもこの人は自分一人で確保出来るんでしょうかね。

食料のみの自給自足論は古過ぎます。成立しませんよ。いつの時代の話でしょうか。
まあ、個人経営に近い農業、昔ながらの農業をただ維持していた農業は、
当然そのまま高齢化で潰れるでしょうね。一時的に国産食料は危機を迎えるでしょう。

ただ、採算に合うのならば企業が関与して先に手を打っているでしょうね。
今も既に対策しようとしている食料品メーカーは多いですよ。

そして、補助金を受けていると批判されているのは、全く農業の進歩が他と比べて
遅れているからです。日本の土地は大量生産性には中々向きませんが、だからと言って、
小さい農家が至る所に存在し、個別に作っていた昔の農業は論外です。
そろそろ本当の淘汰と選別が始まるでしょうね。他の業種と同じですよ。(2018/01/29 16:52)

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「ついに迫る農業の臨界点「国産が足りない!」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>「おれたちには食べるものがある。でも、それを売るのをやめたら、どうなるか。そのことを、いつか、思い知らせてやりたい」

面白い発言ですね。まあ、その台詞はインフラに従事する全ての経営者が言える事ですが。
自分の農業がどれ程の関係者の協力で成立しているか理解しているんでしょうか。
肥料も農薬も機材もエネルギーもこの人は自分一人で確保出来るんでしょうかね。

食料のみの自給自足論は古過ぎます。成立しませんよ。いつの時代の話でしょうか。
まあ、個人経営に近い農業、昔ながらの農業をただ維持していた農業は、
当然そのまま高齢化で潰れるでしょうね。一時的に国産食料は危機を迎えるでしょう。

ただ、採算に合うのならば企業が関与して先に手を打っているでしょうね。
今も既に対策しようとしている食料品メーカーは多いですよ。

そして、補助金を受けていると批判されているのは、全く農業の進歩が他と比べて
遅れているからです。日本の土地は大量生産性には中々向きませんが、だからと言って、
小さい農家が至る所に存在し、個別に作っていた昔の農業は論外です。
そろそろ本当の淘汰と選別が始まるでしょうね。他の業種と同じですよ。(2018/01/29 16:52)

日本農業の不幸は、さまざまな誤解が重なって、合理的な営農ができないできたことに起因します。経営規模・作物などによって、合理的な農法はそれぞれなのに、大規模農家にとって合理的な方法を不完全なしかたで部分的に採用したのが日本農業のコスト高の一因です。「産地」を形成するには生産量の確保が必須となり、地域も農家も単一作物の連作になりがちで、病害が発生しやすく農薬もたくさん必要になります。単一作物の栽培ですから天候による不作や豊作貧乏がすぐに経営を直撃します。
小規模の農家であれば、いろんな作物を少しずつ作るのがリスク分散にもなり作業も平準化します。へんな言い方ですが、楽しい営農になります。でも、単一作物栽培は単なる苦役労働になりがちですし、副業とのバランスも取りにくいのです。
じゃあなぜ合理的な方法が取られないかといえば、「大規模が低コスト」などを始めとするさまざまな思い込み・先入観もありますし、農協も産地形成を金科玉条として「勝手に作物を変えてもらったら困る」てなことになります。その先には、巨大スーパーなど、大ロットを必須とするバイヤーの存在があります。
これらのことを交通整理して合理的な流れを作れれば、日本農業は大化けします。これほど不合理でなんとか生きてきたんですから。ただ、それを誰が旗振るの?ということなのですが。(2018/01/29 13:40)

今は高いが安いときはキャベツ一玉100円など葉物は家庭菜園でも作る気になれない。今までが安すぎたのだと思う(2018/01/29 11:56)

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