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危うい幻想「日本のコメは世界一」

続「vs米国産」、おいしいのはどっち?

2017年2月3日(金)

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 「日本のコメは世界一おいしい――。そう言われると、多くの人は自尊心をくすぐられるし、本当にそうだと思っている人も少なくないだろう」

 こんな書き出しで昨年、この連載で記事を書いた(2016年8月5日「検証!日本vs米国、うまいコメはどっち?」)。書き出しのトーンで予想できる通り、記事の内容は日本のコメが米国よりも一方的においしいとは言えないというものだった。

なぜ国産米だけで競うのか

 「豊葦原の瑞穂の国」の日本人のプライドをゆさぶる根拠になったのが、日本炊飯協会が実施した食味検査だ。検査で使ったのは米国を代表するコメのカルローズと、山形産のササニシキ、はえぬきの3種類。コメを炊き、酢飯にして味を比べたところ、総合評価で軍配が挙がったのはササニシキで、カルローズとはえぬきに有意差はなかった。

 この検査のポイントは、ご飯を酢飯にして比べた点にある。米国のすし店で働く日本人の職人のあいだで「カルローズは酢飯に合う」という評判が高まっているからだ。あえて相手の「土俵」に上がることで、日本のコメが本当に優位にあるのかどうかを確かめたわけだ。

 結果は、酢飯としての評価が高く、高級すし店で使われるササニシキはカルローズに負けなかった。だが、スーパーのすしや回転ずしで使われることの多いはえぬきは、カルローズと有意差はなかった。

 すると当然、つぎの疑問が浮かぶ。「酢飯ではなく、白米で食べ比べたら、どうなるのだろう」。日本穀物検定協会が毎年実施しているコメの食味検査に代表されるように、日本中の産地がコメの味を競い合っている。「今年は特Aがこれだけ増えた」といったことが、稲作の活況を示すかのように語られる。

 ところが不思議なことに、外国のコメと正面から比べることはほとんどない。海外からの輸入を心配するどころか、「稲作の活路は輸出にある」などの指摘が農業界にはある。にもかかわらず、品質で比べてみようとしない姿勢は奇妙なことと言わざるをえない。

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「危うい幻想「日本のコメは世界一」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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