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大学博士×グローバル=異次元農場を見てくれ

浅井雄一郎はトマトで三重から世界に挑む

2016年2月19日(金)

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「日本の農業がガラパゴス化してはいけない」と話す浅井雄一郎氏(三重県津市の実験棟)

 農業はクリエーティブなビジネスだ――。そんな言葉を気負いなく語り、日本の農業に漂う閉塞感を吹き飛ばす経営が登場した。35歳の浅井雄一郎氏が経営するトマト農場だ。この連載で、農業の未来に活路を開く経営をさまざまに紹介してきたが、浅井氏の挑戦は別次元の飛躍をとげる可能性を秘めている。最大の強みは国際性だ。

 三重県松阪市にあるその農場は、2014年9月に稼働し始めた。運営会社はうれし野アグリ(同市)。浅井氏が率いる浅井農園(津市)と三井物産、辻製油(松阪市)が共同でつくった会社だ。昨年はオランダのヤン・ペーター・バルケネンデ前首相やマレーシアのマハティール元首相など、各国の要人が大勢視察に来た。

世界から視察、職員は「TOEIC800点」英語

 設備は、太陽光型の植物工場で世界の先端を行くオランダ製。ここまではよくあるケースだが、画期的なのは、植物工場でネックになるランニングコストを劇的に抑えたことだ。隣接する辻製油の工場で発生する廃熱と、地元の間伐材を使ったバイオマス蒸気の熱を冬の暖房に利用することで、燃料費を圧縮することを可能にした。

 ポイントは、バイオマス蒸気の大半は製油工場が使っている点にある。トマトの農場で必要な熱は、バイオマスボイラーをフル稼働させるほど多くはない。工場の廃熱も蒸気も、余った分を農場が使う仕組みにすることで、光熱費を破格のコストに押し下げた。浅井氏は「真っ白なキャンバスに絵を描くようにビジネスを考えるのが好きですが、このアイデアは傑作だと思います」と話す。

 見学者の目を奪う特徴はほかにもある。農場の面積は2ヘクタールと広大。ひとの背丈をはるかに超える高さの数万本のトマトの木から、ミニトマトの房が垂れ下がる。その赤色が、真っ白な床のシートと柱をバックに映えて美しい。だが筆者が思わず足を止めたのは、農場の事務所でパソコンに向き合うスタッフの会話だった。

スタッフがオランダのコンサルタントと英語で話す。(三重県松阪市)

 「オランダのコンサルタントと話してますね」。浅井氏はさらりと説明したが、スタッフがスカイプで話している言葉はすべて英語。「トマトの生育が予想より悪い」「気温と湿度はどうだった」。スカイプのやりとりには、浅井氏が運営しているべつの施設で、トマトの栽培方法を研究している中国の女性職員も参加した。「こっちは順調です」。

 浅井氏は、メーンの職員にTOEICで800点を超える水準の英語力を求めている。それが経営の武器になっているのだが、肝心なのはそこにいたるまでの必然性だ。それを理解するために、浅井氏の歩みをたどってみよう。

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「大学博士×グローバル=異次元農場を見てくれ」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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