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最強の植物工場は「手づくり」で完成させた

レタス日量5万株!の衝撃(上)

2017年3月31日(金)

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 工場が本格稼働したのは2008年はじめ。「光、温度、湿度、空調、溶液など栽培環境の各要素をどう組み合わせるかというノウハウが重要。ハードだけそろえても、うまくいかない」。スプレッドの稲田信二社長に黒字化できたわけを聞くと、真っ先にそう答えた。

どう組み合わせるか、ノウハウは人に宿る

 当たり前のことと思うかもしれないが、これが「もう大変」という。外の温度は真夏は38度で、冬は10度以下。工場内の環境を一年中一定にするためには、空調をコントロールする必要がある。ところが、空調を使って温度を一定に保てたと思っても、今度はその影響で湿度が変化してしまう。

 同じ照明を使っているはずなのに、光の当たり具合にムラが出る。すると、植物の生育にバラツキが出る。病気が発生したことはないが、溶液の中に藻が発生したことがあった。藻が植物の根に付着し、養分の吸収を妨げた。溶液に光を当てないようにすると、藻が発生しないことがわかった。こういうことも、「やってみないとわからない」。

 光を効率的に吸収させるためのノウハウも手作業で積み重ねた。育て始めは株が小さいので、密植する。葉っぱが育ってくると、光がよく当たるように間隔を空ける。この工程を3回くり返す。こういう微調整は、最初のうちは人の目と手で確かめていくしかない。

 こうした環境制御の技術をスタッフが身につけることが、生産の安定につながった。つまり、「ノウハウは人に宿る」。試行錯誤をくり返すことでそれが向上し、当初3000株程度しかなかった1日の出荷量が5000、8000、1万と増えて採算分岐点の1万8000株を突破し、黒字化を実現した。

 技術の向上が必要なのは、社員だけではない。いまは50人のパートが1人1日400株収穫しているが、当初は200株ぐらいしか収穫できなかった。管理方法の見直しと熟練が重なり合って、作業のスピードが高まり、効率を2倍に高めることに成功した。

 植物工場の一般のイメージと違い、ずいぶん人に依存していると思うかもしれない。先回りして言えば、4月にも着工する第2工場は人工知能(AI)を活用し、栽培工程のほぼすべてを自動化する。だがそれも、第1工場の運営を「手づくり」で確立したという土台がなければ、実現できなかっただろう。

「露地栽培と同じ価格で売れるものをつくるのが次のミッション」と話すスプレッドの稲田信二社長

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「最強の植物工場は「手づくり」で完成させた」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師