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イオンの稲作、1年目の「成功と失敗」

企業が農業を手掛ける真価、示せるか

2016年4月8日(金)

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初の収穫を喜ぶスタッフ(埼玉県羽生市)=写真はイオンアグリ創造提供

 稲作は、日本の農業が抱える課題の縮図と言える。兼業農家が多くて小規模で、高齢化が深刻。収益性が低く、民主党時代には「コメづくりは赤字」という前提に立ち、赤字を埋めるための補助金までできた。ほかの作物と比べて農家の数が圧倒的に多いため、政治マターになりやすいのも際だった特徴だ。

 その稲作に企業が挑戦したらどうなるのか。1年半前にこの連載で、イオンの子会社のイオンアグリ創造(千葉市)が埼玉県羽生市で稲作への参入を計画していることを伝えた(2014年10月31日「村よ、企業を恐れるな」)。昨年秋に初の収穫を終え、いま2年目の作付けに備えている。同社が何を学び、何を課題と感じたのかを取材した。

野菜で5年、昨年から稲作開始、複合経営へ

 イオンアグリ創造が羽生市で農業を始めたのは2010年。市からは「稲作で耕作放棄地が増えている。コメをつくってほしい」と頼まれたが、最初はキャベツや白菜など他の地域で実績のある作物の生産から始めた。5年たち、野菜が軌道に乗ったことを受け、昨年、稲作への挑戦に踏み切った。

 「日本人がコメを食べなくなり、市場がシュリンクしているということはわかる。だが、生産コストを割り込むほど値段が下がっているのかどうかはわからない」。イオンアグリ創造の福永庸明社長は、まだ作付けを始める前の前回の取材でこう説明した。

 結果はどうだったのか。今回の取材で福永氏は「ビギナーズラックかもしれないが」と前置きしたうえで、「3年ぐらいやれば安定して利益を出せる手応えをつかんだ」と語った。企業がやる以上、農家が嘆息まじりで言うような「先祖伝来の田んぼだから」との理由で、赤字を出しながら続けることは許されない。その意味で、1年目で採算性に光明がみえたことは朗報だろう。

 ではなぜ「利益を出せる手応え」をつかめたのか。理由は複合経営にある。かつて農業経営学者の金沢夏樹氏(故人)が指摘したように、兼業を中心とする農業は稲作にかたよった単作化を招き、収益構造をやせ細らせた。これに対し、イオン農場はもともと野菜をつくっていたから、田んぼと畑で従業員を融通し合うことで、無駄なく人員を配置することが可能になった。

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「イオンの稲作、1年目の「成功と失敗」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長