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吉野家が農場を縮小「質も効率も難があった」

企業の力を農業で生かすために必要なこととは

2016年5月13日(金)

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すでに生産をやめた吉野家ファーム神奈川の畑(横浜市)

 吉野家ホールディングスは神奈川県で運営していた農場を大幅に縮小した。これ以上生産を続けても利益を出すのは難しいと判断したためだ。立ち上げから7年。大手外食チェーンが手がける農業という性質上、本来、つくったコメや野菜の売り先には困らないという強みがある。にもかかわらず、なぜ事業を軌道に乗せることができなかったのだろうか。

3.6ヘクタール、30種、対応できず

 事業を縮小するのは、吉野家HDの子会社の吉野家ファーム神奈川(横浜市)だ。昨年は神奈川で水田と畑をそれぞれ1.8ヘクタールずつ借りていたが、今年は水田はすべて地主に返し、畑も1ヘクタールに減らした。2009年の設立から足元まで、7期の決算をへて一度も黒字になったことはなかった。

 利益が出なかったわけは大きく分けて2つある。まず、田畑を合わせて面積が3.6ヘクタールまで拡大していたとはいえ、圃場が分散しているため、効率が悪かった。具体的には、水田は2つの地域、畑は4つの地域に分かれており、規模拡大のメリットをほとんど享受できていなかったのだ。移動の便を考えれば、むしろ拡大が経営の足を引っ張ったと言えるかもしれない。

 2つ目の理由がもっと肝心なのだが、品質も収量も安定していなかった。スタッフに技術が十分身についていないにもかかわらず、一時は30種類もの野菜に手を出した。それを反省し、直近では品種を白菜、タマネギ、青ネギ、リーフレタスの4種類に絞ったが、例えば、タマネギは甘い大玉をつくることができず、スーパー向けに販売した。

 青ネギは埼玉県の自社の加工センターを通して「吉野家」や「はなまる」に出していたが、去年は雑草の処理が追いつかず、作業が後手に回って病気への対処が遅れ、計画通りの収量をあげることができなかった。白菜、タマネギ、青ネギはすでに生産を停止した。残るリーフレタスは、卸会社を通してグループ外に出荷している。

 こう書いてくると、打つ手がすべて間違っていたようにみえるかもしれないが、一つ一つの手にはそのときどきの狙いがあった。田畑が分散しているのはもちろん非効率だが、人件費などの固定費を計上したうえで、利益を出すには、まず規模を大きくしなければならないとの思いがあった。もし、規模拡大に伴い、徐々に同じ地域に圃場が集中していけば、利益を出す道筋もみえたかもしれない。

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「吉野家が農場を縮小「質も効率も難があった」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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