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日本の壊れた味覚を立て直す

割烹「くろぎ」×越後ファーム “旨い米”談義(下)

2016年7月8日(金)

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割烹「くろぎ」オーナーシェフの黒木純さん(右)と越後ファーム社長の近正宏光さん。いかに米のおいしさを伝えるか。その決意を語り合う(撮影はUNIWORX 飯田あずみ氏)

 「日本一予約のとりにくい店」と言われる和食店が選んだのは、脱サラ経営者が率いる農業法人の作った米だった――。前回は、工夫と努力次第で新規参入組でも大きな成果をあげることができることをお伝えした(7月1日「『日本一予約のとれない店』が選んだ米」)。

 今回はその第2弾。東京・湯島の和食店「くろぎ」のオーナーシェフ、黒木純さんと、越後ファーム(新潟県阿賀町)社長の近正宏光さんへのインタビューのテーマは、日本人の味覚の変化や食育の問題へと移っていった。

いまは、ぎりぎりセーフ

料理を食べる側が繊細な味を理解できなくなっているという問題はありませんか。

黒木:「おっしゃる通りで、いまの時代っておふくろの味がなくなってきてるんです。僕らの時代はぎりぎりそれがあって、朝、まな板の音で目が覚めるっていう感覚があった。いま子どもがおいしいと思う味は、化学調味料が入っている照り焼きソースだったりとか、コンビニの味だったりとかで変わってきてるんです」

 「ただ、不思議とそういうお子さんたちも、本当においしいものを食べたときは、いままで食べたことのない味を舌に感じるから、おもしろい反応が出るんです。いまはまだぎりぎりセーフなんです。けれど、これから20年、30年たったとき、その子たちが何をおいしいと思い、何が基本の味になるのかを考えて料理をしていかなければならないと思ってます」

子どものうちに何を食べるかが大事だということですね。

黒木:「食育がどれだけ大事かっていうことなんです。はやりの言葉で言えば、腸内フローラとか、腸内環境とか、そういうものがなぜ崩れているのか。昔の人はなぜ対応できたのか。そういうことを考えていくと、昔は薬膳料理とかを食べると、それだけで胃がきれいになるということがあった。七草もそうですよね。そういうことをちゃんとできていたのが日本の文化なんです」

 「昔の人は薬が発達していなかったので、ヨモギを食べたり、薬草を食べたりして体を整えていたんです。現代は科学がすごく発達しているので、薬を飲めば何とかなるんですけど、毎日食べているものでそれが可能かというと、難しい。なので、食育や健康という部分で、日本にある和食というものをちゃんとみんなにつないでいかなければならない。それが僕らの使命なんです」

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「日本の壊れた味覚を立て直す」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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