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吉野家のコメ、「一段下にみて欲しくない」

農家との距離縮めて安定調達

2017年8月4日(金)

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家庭のご飯と牛丼はコメの特質が違う

 取材をしていると、相手の何気ないひと言でものの見方が変わることがある。吉野家ホールディングスにコメの調達についてインタビューしたときのことだ。コンビニの弁当やおにぎり、外食で使うコメのことを、ふつう「業務用米」と呼ぶ。とくに意識せずに取材でその言葉を使うと、担当バイヤーは流れを断ち切って次のように語った。

 「個人的な意見ですが、業務用米って言葉嫌いなんですよね」

 今回はこの言葉を手がかりに、稲作とコメの販売、消費、さらに農政のことを考えてみたいと思う。

なぜアグリ吉野家ISを立ち上げたか

 取材の目的は、コメを中心にした食材の調達会社「アグリ吉野家IS」の事業内容を理解することにあった。企業と農業との関わりをテーマに取材し続ける中で、農場を直接運営することだけが、企業がやるべき農業ビジネスではないと思うようになったからだ。

 アグリ吉野家ISは2009年の設立。吉野家と神明、伊藤忠ライスが立ち上げ、その後、木徳神糧も参画した。吉野家と有力コメ卸が組み、コメの安定調達に取り組む戦略会社だ。

 取扱量は3000トン超と、すでに吉野家グループが扱うコメの10%を超えており、近々5000トンに増やすことを目指している。吉野家という膨大な量の食材を扱う外食チェーンの調達の中で、一定のボリュームを持つにいたったと言っていいだろう。

 ただし、アグリ吉野家ISは農協や卸、全国農業協同組合連合会(全農)といった吉野家グループの既存の調達ルートを排除して大きくなってきたわけではない。アグリ吉野家ISは、そこに加わった新たなルートという位置づけだ。そこでポイントは、なぜアグリ吉野家ISを立ち上げたかにある。

 本来、コメ調達の基本は、吉野家グループが求めるコメの品質を全農や農協に伝え、それを組合員たちに作ってもらうというやり方だ。マーケットインの発想に基づくシンプルな生産方法で、これがうまくいけば最も効率的。だが、「このルートがなかなかままならなくなっている」という。

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「吉野家のコメ、「一段下にみて欲しくない」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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