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「夢の植物工場」はなぜ破綻したのか

「低コスト」の幻想をうち破れ!

2016年9月30日(金)

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 植物工場を運営・販売するみらい(東京・中央)が昨年6月末、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。日本でもっとも有名な植物工場ベンチャーとして盛んにメディアに取り上げられてきた旧みらいの破綻は、業界に衝撃を与えた。植物工場はその後、通信・電設資材のマサル工業(東京・豊島)への事業譲渡が成立し、いまは「MIRAI」(千葉県柏市)に社名を変えて野菜の栽培を続けている。この記事では、破綻した会社をMIRAIと区別するため、旧みらいと表記する。

 なぜ旧みらいは破綻したのか。新生MIRAIは事業を軌道に乗せることができるのか。旧みらいが破綻にいたるまでの経緯を知るMIRAI社長の室田達男氏と、マサル工業社長とMIRAI会長を兼務する椎名吉夫氏への取材をもとに、2点を考えてみたい。

多くの見学者が夢をふくらませたが…

 まずは千葉県柏市にある「柏の葉グリーンルーム」から紹介しよう。物流倉庫などが立ち並ぶ一画にあるその建物は、文字通り小型の工場か倉庫にしかみえない。このなかに「畑」があるとは想像もつかず、アスファルトに囲まれた風景に完全に溶け込んでいる。

MIRAIの植物工場の外観。この中に「畑」があるとは想像がつかない(千葉県柏市)

 建物のドアを開け、階段を上り、見学用のスペースに入る。ガラス越しにとなりの部屋をのぞき込むと、幾段も積み上げられた棚でレタスが育てられている。棚を照らすのはピンク色のLED。陽光の差す田畑と違い、ひんやりとした印象を受ける。苗を棚に移しているスタッフは、頭から足先まで、肌の露出がほとんどない作業着姿で、農家というより、工場の従業員というほうがやはりしっくりくる。

 じつはこれがクセモノなのだ。どれほど多くの見学者がこの光景を見て、農業の将来に夢をふくらませたことだろう。「無菌で安全」「天候に左右されない」「これこそ未来の栽培技術」。様々な言葉が頭をよぎっただろう。だが、旧みらいは、この工場が稼働してから1年余りで経営が暗礁に乗り上げた。

LEDの光が美しく照らすMIRAIの植物工場(千葉県柏市)

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「「夢の植物工場」はなぜ破綻したのか」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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