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農家のほおを札束でたたくな!

補助金漬け経営への誘惑(上)

2015年10月2日(金)

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補助金で飼料米の生産を増やす農林水産省(東京・霞ケ関)

 農政官僚と農林族は、いったい日本の農業をどうするつもりなのだろう。家畜のエサにする飼料米に出す巨額の補助金のことだ。この連載は、厳しい経営環境にある農業で創意工夫をこらしてがんばっている人たちを応援することを目的にしている。だが残念ながら今回は、気の進まない重い話になる。

「人が食べるコメ」から「転換」

 「はい、2015年産の主食用米の需給ですが、生産現場の大変なご努力で、過剰作付けの解消が図られております」。林芳正農相は9月1日の記者会見で、こう胸をはった。なぜ、消費が減ってつねに余りがちだったコメの需給が均衡しようとしているのか。農相があげた理由は「餌米の生産拡大、それから麦、大豆、WCS(発酵稲粗飼料)などの生産拡大」。田んぼで、人が食べるコメ以外の作付けが増えた成果だ。

 これだけだと焦点がぼやけてしまうので、8月25日の記者会見のもようも紹介しよう。「はい、主食用米からの転換状況ということですが、飼料用米については前年の3.4万ヘクタールから7.9万ヘクタールの見込みになっております」。このときも、林農相が真っ先に触れたのは、主食のコメから飼料米への作付転換だ。コメの生産調整(減反)の主眼が、飼料米をターゲットにしていることは明らかだ。じつはここで「転換」という言葉を使ったのは適切ではないのだが、そのことは後述する。

 この会見で、農相はもっと重要なことも言った。「主食用米の過剰作付けは、2007年産で過去最大の7.1万ヘクタールに達したことがありましたが、今回初めて解消されまして、過去最低水準のマイナス8000ヘクタールと、目標を超えて達成する見込みになっております」。家畜のエサにするコメを増やしたことで、主食のコメの生産抑制が政府の期待より進んだということだ。

 農相は続けてこうも言った。「需給が引き締まって、価格形成にもいい影響が与えられるんではないかと期待をしているところでございます」。主食のコメが減産になって値段が上がることへの期待感の表明だ。本当に農家のためになるかどうかはべつとして、頭にあるのは農家のことだけ。消費者や食品企業にとっては、米価は安い方がいいということにはまったく思いいたらないのだろう。

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「農家のほおを札束でたたくな!」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師