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農業女子はなぜ補助金を受け取らなかったのか

ちょっとした意地を胸に、甘えず、身の丈から

2015年11月6日(金)

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 農林水産省の補助金を断った新規就農者がいる――。そんなうわさを聞きつけて、東京都の西多摩地区の瑞穂町を訪ねた。JR箱根ケ崎駅に軽トラで迎えに来てくれた中居樹里さんは、ぱっと見には少しきゃしゃで、おとなしそうな印象を受ける。ところが補助金のことを聞いてみると、すずしい顔で「はい、受け取ってません。損して得とれじゃないですけど、給付金をもらわないことがプラスになると思ってます」と答えた。

身の丈から始める

 はじめにプロフィルに簡単に触れておこう。就農は昨年。東京農業大学の短期大学部で学び、最初は花屋で、つぎに環境コンサルタントの会社に勤めた。山にダムをつくったとき、動物や植物に与える影響を調べ、国などに報告する仕事だ。どちらの仕事も、「自然が好き」という思いが背景にある。

「作業のタイミングを絞れるようになってきました」と話す中居樹里さん(東京都瑞穂町)

 農業には高校生のころから興味があったが、「いつかはやりたい」ぐらいにしか思っていなかった。自分にできるとは思えなかったからだ。ところが最近、非農家の出身で農業を始める若者が増えているという話を聞いて、まずは体験農園で実際に野菜を育ててみると「とてもおもしろかったんです」。

 こうして農業の世界への扉は開いた。就農のために250万円ためてから会社をやめ、いくつかの農家で研修したり、話を聞きに行ったりした。このとき研修先に選んだのは、就農して数年の農家たちだ。「自分の身の丈とそう変わらないところに行きました」という。

 「もっと大きくばりばりにやってる人を訪ねないと勉強にならない」と思うかもしれないが、彼女には彼女の考えがあった。例えば「最初はトラクターさえなくて、耕運機でやってたんだよ」という話を聞いて、「自分もすごくやってみたくなりました」。遠い昔の話ではなく、手のとどきそうな先で成長しつつある姿が、彼女に農業を身近なものに感じさせてくれたのだ。

 いまつくっている野菜は約50種類。農薬は使わない有機栽培だ。有機農業というと、現代農法への反発など“思想的なもの”から入る人が多いが、彼女の場合は研修先が無農薬だったことがきっかけになった。「わたし、農薬の使い方知らないんです」。売り先は、地元のスーパーや直売所だ。

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「農業女子はなぜ補助金を受け取らなかったのか」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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