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高級料亭4代目はなぜ「工場野菜」を選んだか

伝統文化はアップデートされる

2017年12月8日(金)

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 天候不順で野菜の値段が頻繁に高騰する中、工場で育てた野菜が量と値段の両面の安定で存在感を高めている。では品質面はどうなのか。そのことを考えるため、植物工場ベンチャーのプランツラボラトリー(東京都港区)が作った野菜を使い、精進料理の高級店「醍醐」(同)がサラダセットをプロデュースしたエピソードを以前、この連載で紹介した(11月10日「今度は植物工場の八百屋が登場した」)。

 ここで肝心なのは、工場の事情を聞くことだけではなく、野菜を使う料理人の思いを知ることだろう。1950年創業の名店が工場で作った野菜を扱い、店のイメージに影響しないのか。そもそもなぜ、工場野菜を使うことにしたのか。4代目店主の野村祐介氏にインタビューした。

共通項は柔らかさ

なぜ工場野菜を使うようになったのですか。

野村:プランツラボラトリーの代表の湯川敦之さんも僕も港区の青年会議所のメンバーで、台湾のイベントに一緒に行って知り合いました。僕は野菜の料理人で、湯川さんは植物工場の経営者で、全然違う観点から野菜を見ています。僕の知らない野菜の多くの部分を教えていただきました。

 正直、安定供給に興味があったわけではありません。最近流行の、アルフォンソマンゴーやフルーツトマトなど糖度の高いものも、我々料理人は求めていません。興味があったのは、そういうことをコントロールできるかどうかです。露地ものの良さ、LEDを使い、水耕栽培で作った野菜の良さを教えてもらい、いろいろ試してみたのがとっかかりです。

どんな感想を持ちましたか。

野村:「面白いね」と思いました。しょっぱなから、かみ合ったんです。最初にいただいたのは、ヨモギです。草団子にするときの、露地ものの力強い香りは1つの魅力ですが、それは餅にして餡子と一緒にする足し算の料理の魅力です。

 一方で、天ぷらにしてちょっと塩をつけていただくと、葉脈の強いものはすっと衣だけ抜けてしまったりするんです。強すぎる香りがほかに移ってしまうといったビハインドもあります。その点、植物工場で水耕栽培で育てた野菜は葉脈が柔らかく、そういうことが起きません。

 バジルの天ぷらとか、以前はちょっと発想しなかったものを作り、お出ししたこともあります。お客様も喜んでくれました。バジルのソースのジェノベーゼみたいなものを想像すると、あまりに強すぎて和食を逸脱してしまいます。でも工場で作ったバジルは香り立ちが繊細で、これも「面白い」と思いました。共通項として柔らかさがあります。

野菜の扱いで意気投合したプランツラボラトリーの湯川敦之さん(左)と醍醐の野村祐介さん(東京都港区の「醍醐」)

コメント5件コメント/レビュー

水耕栽培も露地栽培も個人的には美味しければどちらでも良いと思っていました。けれどそれは一般人の考え、料理人が手に取ればこうも幅が広がるものなのでしょうか。水耕栽培には水耕栽培の、露地ものには露地もの良さがそれぞれに全く異なり調理方法や献立てまで変わってくるとは。双方を知っている様で、わかっている様で理解してなかったのだと実感しました。そして一般的にも人工光での栽培に割と否定的な風潮の中、老舗精進料理屋の看板が加わって水耕栽培の野菜を使っていくとなると相当の重圧になるのではと感じましたが、そこは挑戦なくして文化は守れないと強い意思と少しの勇気で前進していく。間違ったら戻れば良いと言うのは簡単だが責任のある立場であるほど実行していく事は難しいものと痛感しているからこそ、その姿勢がすごいなと感じました。(2017/12/17 05:52)

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「高級料亭4代目はなぜ「工場野菜」を選んだか」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

水耕栽培も露地栽培も個人的には美味しければどちらでも良いと思っていました。けれどそれは一般人の考え、料理人が手に取ればこうも幅が広がるものなのでしょうか。水耕栽培には水耕栽培の、露地ものには露地もの良さがそれぞれに全く異なり調理方法や献立てまで変わってくるとは。双方を知っている様で、わかっている様で理解してなかったのだと実感しました。そして一般的にも人工光での栽培に割と否定的な風潮の中、老舗精進料理屋の看板が加わって水耕栽培の野菜を使っていくとなると相当の重圧になるのではと感じましたが、そこは挑戦なくして文化は守れないと強い意思と少しの勇気で前進していく。間違ったら戻れば良いと言うのは簡単だが責任のある立場であるほど実行していく事は難しいものと痛感しているからこそ、その姿勢がすごいなと感じました。(2017/12/17 05:52)

太い葉脈が食感を損ない、高齢者の食べる楽しみを奪うとの認識を初めて持った。
「植物工場の野菜」に食べものとしての価値を初めて感じた記事だった。「植物工場の野菜」以外の良いネーミングが必要かも。

ただ、こういう食の最先端は別にして、一般のスーパーの青果売場や総菜売場では、買い手・食べ手が土と太陽の下で育ったものと区別できるように明示するルール作りを進めてほしい。
科学的に証明されていないとしても、「土と太陽」が作った野菜とはきっと何かが違い、子どもなど成長期の人たちが知らずに食べ続けることで、何かが変わってしまうかもしれないと気がするから。
大衆のふだんの食は、保守的でいいと思います。(2017/12/11 20:16)

この野菜の生産方法はとても革新的だと思います。何故なら、自分が苦手な食材や、地方に行かないと手に入らない食材も、人工栽培でなら食べられるという可能性があると思ったからです。
近い将来のレストランの料理の幅も広がりますね。自分も作る身として楽しい事が増えそうです。
それと同時に、マクロビオティックの無農薬、自然農法といった考えを、持っている方はどのように考えるのか興味が湧きました(2017/12/09 22:21)

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