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兼業農家の「自然消滅」に期待した農政の罪

「あの人たちはいずれいなくなりますから」から5年

2015年12月11日(金)

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農政は競争力の強化策に純化できるか

 あの人たちはいずれいなくなりますから――。民主党政権が2010年に戸別所得補償制度を導入したとき、取材におうじた農林水産省の担当者が語った言葉だ。「あの人たち」は、高齢の兼業農家を指す。農業の現状と未来を考えるため、今回は少し前のことをふり返ることから始めたい。

「どう整合性がとれるんですか」

 いまや政権が自民党に代わり、風前のともしびとなった戸別所得補償は、生産調整(減反)に協力することを条件にコメ農家に補助金を出す制度だ。民主党はこの補助金を正当化するため、「稲作は構造的に赤字だから」と説明した。米価下落で稲作の収益性は急速に悪化していたから、多くのコメ農家は当然のように喜んだ。

 民主党に政権をうばわれる前、自民党はこれとは違う方向へと農政のカジを切っていた。選別政策だ。都府県で4ヘクタール以上、北海道は10ヘクタール以上の経営に絞り、公的に助成する制度を2007年に始めた。かつてなら「弱者切りすて」と批判されかねないことを、大胆にもやってのけたのだ。

 このときつくった制度は、世界貿易機関(WTO)のルールへの適合性で補助金を分類するなど、国際競争を強く意識する内容となっていた。コメ市場を開放した1993年のガット・ウルグアイ・ラウンド合意のころにこうした発想は芽生えていたが、ここまではっきり打ち出したのは初めてだ。

 この流れを、民主党の戸別所得補償が断ち切った。同じ2007年の参院選で、民主党は減反に協力すれば事実上、すべてのコメ農家に補助金を出す政策を掲げ、農村票をうばって勝利した。選挙のメカニズムを知りつくした小沢一郎氏ならではの戦略と評価する声もあるが、ようは「ばらまき」だ。

 そして2年後に政権をとると、民主党は公約通りこの制度を導入した。筆者はこのとき、農水省の担当者につぎのように尋ねた。「ついこの間まで、農家を規模で区切って選別し、競争力を強めようとしていたことと、兼業も含めてコメ農家に一律に補助金を出す制度はどう整合性がとれるんですか」。

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「兼業農家の「自然消滅」に期待した農政の罪」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士