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ブランドは「ライフの集合体」:糸井重里さん

第4回 デザインは「生きる舞台」づくり。行き着く先は「都市計画」

2016年3月18日(金)

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川島:この質問、連載で必ず聞いていることなんですが、糸井さんにとって「ブランド」とは何ですか?

1948年群馬県生まれ。「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。 1971年にコピーライターとしてデビュー。 「不思議、大好き。」「おいしい生活。」などの広告で一躍有名に。 また、作詞やエッセイ執筆、ゲーム制作など、幅広いジャンルでも活躍。 1998年6月に毎日更新のウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を 立ち上げてからは、同サイトでの活動に全力を傾けている。

糸井:よく分からないんですけど、まあ一言で言えば、経営してきた人のヒストリーですよね。きちんとしたヒストリーさえあれば、「5年しか経っていないけれどブランド」っていうのもあると思うんです。

 「iPhone」だって、アップルというブランドに乗っかっているとはいえ、ブランドとして一本立ちできる存在になっている。それはやっぱり、「iPhone」の持っているヒストリーだと思うんです。そして、ヒストリーというのは「ライフの集合体」でもある。

川島:「ライフの集合体」ですか?

糸井:「ほぼ日手帳」について言えば、もう10年以上にわたって「手帳って何か」ということを、僕らは考えているわけです。東日本大震災があった時、手帳が流れてしまった人に、新しい手帳を差し上げますということをしてみたら、ものすごく喜ばれたんです。

 アルバムを失くしちゃったということと、手帳を失くしちゃったということを、同じように大事にとらえている人たちが、実はいっぱいいたわけです。それで「これは何だろう」って考えた時に、その人たちにとっての手帳って、生命=ライフの一部みたいになっているのかもしれないと思ったんです。

川島:そう言われてみると、使い終わった手帳って、何に使うわけでもないのに捨てられなくて。20年間分くらい手元にあります。

糸井:そうでしょう。それで一昨年、「ほぼ日手帳」に「LIFEのBOOK」というキャッチフレーズを付けてみたんです。そうしたら、いろいろなものが見えてきて、昨年(2015年)は「This is my life.」 というキャッチフレーズにしたんです。

 「手帳ってライフだよ」って言うと、すごく収まるわけです。川島さんのように、何年もとっておいて後で見るのもライフだし、もう終わったことと捨ててしまうのもライフ。そういった無数のライフの積み重ねって、ブランドとそっくりだと思うんです。

川島:なるほど。使ってきた人のストーリーも含めて「ライフの集合体」となったもの、それがブランドということですね。じゃあ、そんな「ライフの集合体」、つまりブランドは意図的に作れるのでしょうか。

老舗にとって、新しい挑戦とは新しくなることじゃない

糸井:あるブランドについて「大好き」という人がいてもいいし、「認めません」という人がいてもいい。それから、「うちは、なかなか手が出せない存在」というヒストリーをキープしようとしているブランドに対して、「いつかは憧れ」という人がいるのもありです。

川島:いわゆるラグジュアリーブランドって、そういう「ライフの集合体」と言えますね。

糸井:一方で「絶対そんなもの身に着けない」というひとがいるのも、それはそれで当たり前のことです。

川島:「ライフの集合体」だから、いろいろなありようがあるわけですね。

糸井:たとえば「金儲けだ、金儲けだ」と言っている人が集まって、ものすごく一所懸命やりましたっていう「ライフの集合体=ブランド」もある。それは、「金儲けだ!という人が作った」というヒストリーで、ある層の人を惹きつける。ファンを作れますよね。

川島 だから人は、ブランドのものを手に入れて、使うわけですね。

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「ブランドは「ライフの集合体」:糸井重里さん」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所所長

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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