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「民主主義」が「デザイン」をダメにする

佐藤卓デザイン事務所 代表 佐藤卓さん(3)

2015年8月28日(金)

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デザインの決定に民主主義はありえない

佐藤卓(さとう・たく)
グラフィックデザイナー
1979年東京藝術大学デザイン科卒業、1981年同大学院修了、電通を経て、1984年佐藤卓デザイン事務所設立。「ニッカ・ピュアモルト」の商品開発から始まり、「ロッテ キシリトールガム」「明治おいしい牛乳」などの商品デザイン、「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」のグラフィックデザイン、「金沢21世紀美術館」「国立科学博物館」「全国高校野球選手権大会」等のシンボルマークを手掛ける。 また、NHK Eテレ「にほんごであそぼ」アートディレクター、「デザインあ」総合指導、21_21 DESIGN SIGHTディレクターを務めるなど 多岐に渡って活動。著書、展覧会も多数。(写真:鈴木愛子、以下同)

川島:卓さんは、企業トップと直接仕事をする機会も多いかと思います。で、質問です。アップルをはじめ、いま世界市場で活躍している企業は、「デザイン」と経営がとっても近い。経営陣が、デザインを明確に企業戦略に織り込んで、デザインがその企業のブランド価値を上げている、直接的に売り上げを上げている。一方、今の日本企業、とりわけ大企業には、「デザイン」を経営に生かしている、という様子がなかなか見えないのですが……。

佐藤:それは経営トップの問題です。そもそも大半の社長はひとえに経営の専門家であって、デザインの専門家ではない。その上で、デザイン戦略に関して、社長には大きく2タイプが存在します。ひとつは、自分は分からないけれども、デザインは大切だと思っている人。もうひとつは、分からないから、デザイン思考がそもそもゼロの人。

川島:シンプルなお答えですね。

佐藤:デザインに理解がある社長は、例えば外部デザイナーである僕の話を、直接じっくり聞いてくれます。デザインに理解がない社長は、まあ当たり前ですが、外部デザイナーの話なんか聞かない。

川島:卓さんのような影響力のあるデザイナーでもですか?

佐藤:いやいや、影響力がないからです(笑)。それと、案外やっかいなのは、デザインを民主主義で決めようとする社長。これが、とっても困る。

川島:民主主義で決める?

佐藤:ご自身の意見を言わずに、社員の方々の意見をたくさん聞いて、それを反映したデザインにしようとする社長です。多くの社員の意見をまとめて、うちはこうしてほしいということをおっしゃるわけです。

川島:ある種の集合知みたいな話ですね。なんだか、社員の意見をちゃんと聞く、できた社長に思えますが。

佐藤:残念ながらそうではないのです。社長が自分で決めず、不特定多数の社員の意見を積み上げてデザインに反映しようとすると、良いデザインはできないんですよ。

川島:……なんとなく分かります。

佐藤:僕は昔から主張してきました。「デザインの決定に民主主義はあり得ない」と。

川島:「みんなの意見」が「いいデザイン」を産むわけじゃない、と。

佐藤:デザインとはまだ世に出ていないもの、これから世に出るものに施されるものです。つまり未来の世界を具現化するのがデザイン。だからデザインを選ぶ仕事は、「目利き」でないと無理です。民主主義が機能するのは、ものができてから。つまり、誰かがデザインした商品を、実際に消費者として購入する瞬間。そのデザインが本当にいいものかそうでないかは、市場という民主主義が決める。だからデザインの良し悪しについては、企業の中の“目利き”が判断しなくてはならない。もし社長が、「自分は“目利き”ではない」と思うなら、“目利き”を側近に配することが大事なわけです。多数決でデザインを決めては絶対にダメです。

川島:そもそも、自分が“目利き”じゃないことすら、自覚していない社長もいっぱいいそうですね。

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「「民主主義」が「デザイン」をダメにする」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所所長

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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