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愛情がなければ放り出しちゃう

映画監督・テレビディレクター 是枝裕和さん(2)

2015年9月25日(金)

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テレビ番組、誰が面白がっているのかが、よく分からない

川島:最近、テレビ番組を観ていて、わくわくすることが減りました。なぜなんだろう?

是枝裕和(これえだ・ひろかず)
映画監督・テレビディレクター
1962年、東京生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出、2014年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。主なテレビ作品に、水俣病担当者だった環境庁の高級官僚の自殺を追った「しかし…」(91年/フジテレビ/ギャラクシー賞優秀作品賞)などがある。
95年、初監督した映画『幻の光』(原作 宮本輝、主演 江角マキコ・浅野忠信・内藤剛志)が第52回ヴェネツィア国際映画祭で金のオゼッラ賞等を受賞。2004年、監督4作目の『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭にて映画祭史上最年少の最優秀男優賞(柳楽優弥)を受賞し、話題を呼ぶ。2013年、『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞他国内外の賞を多数受賞。2015年6月13日より最新作『海街diary』公開。
(写真:鈴木愛子、以下同)

是枝:僕も、今のテレビ番組の大半は、作り手が面白がっているのかよく分からないのです。作っている人間が面白がっているのであれば、たとえ僕とセンスが違っていてもいいと思うのです。でも、不遜な言い方かもしれないですけれど、ちゃんと作ってはいるのだけれど、誰も面白がっていないんじゃないかな、と感じてしまう番組が、実は少なくない。

川島:なぜでしょう? マジメにつくってはいるんですよね。視聴者のことを思って。

是枝:そう。たぶんね、テレビを観ている人のことを考え過ぎた結果じゃないかな。

川島:「視聴者=受け手」に受けることを考え過ぎている、ってことですか。

是枝:テレビ番組を作る人が、悪い意味のマーケティングにがんじがらめになっているのではないですか。視聴者は、きっとこんなものが好きだろうって。そういうこと、映画でも同様にあるのです。

 この映画を観に来そうなメーン層は20代の女子=F1層、その人たちに人気がある俳優は、調査結果によるとこの人たちだから、この中のひとりを必ずキャストに入れましょう、みたいな。そんなマーケティングから、映画のキャスティングが導かれるケース、ごく普通に行われていることです。

川島:是枝さんでも?

是枝:僕は一切やりません。やりたいとも思いません。そして今後もやらないです。だって、つまんないから。

川島:じゃあ、キャスティングはどなたが?

是枝:自分でやります。映画において、誰に出てもらうかという出演者のキャスティングって、一番大きな仕事のはずです。だったら、それって監督の仕事じゃないですか。

 それに自分でキャスティングした人たちでないと、愛情をもって映画を撮れないです。誰を撮りたいかって、監督にとってものすごく大きなモチベーションですから。映画を撮るって、肉体的にも精神的にも大変な仕事だから、出演者を選んだ責任が自分にないとなったら、「まあ、そこまで粘らなくてもいいかな、僕、特別この人に愛情ないしな」と、どこかで放り投げちゃうかもしれない(笑)。

『海街diary』
公開中
(c)2015吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ

川島:この夏、公開されて評判になった『海街diary』も、四人姉妹を演じる女優さんたち、それぞれの個性がのびやかに表現されていて、惹き込まれました。末娘の「すず」役の広瀬すずちゃん、いいですよね。名前までいっしょ。新人さんですよね。

是枝:たまたまテレビを観ていて、とあるコマーシャルのワンシーンに出ていて、「この子、いいな」と思い、オーディションに呼んだんです。一本釣りに近いですね。

川島:どういうところに、ビビッときたのですか?

是枝:一人で立ってる感じがしたんです。

川島:一人で立ってる?

是枝:あのくらいの10代の女の子って、わりと誰かに寄りかかって、みんなで群れたりするじゃないですか。でも、すずちゃんは、ちょっと群れから離れている感じがした。会ってみたら、感じた通りだった。一人で立って、ぶれない。ああ、この子は、『海街diary』の「すず」の役にぴったりだ、って。

川島:「すず」ちゃんのお姉さんたちが、また良かったです。しっかりもので看護師の長女が綾瀬はるかさんで、恋愛体質で奔放な次女が長澤まさみさんで、マイペースでオタクな三女が夏帆さん。全部、是枝さんがキャスティングしたんですね。

是枝:もちろんです(笑)。彼女たち3人の女優さんたちが、さらに新人のすずちゃんから、いろいろなものを引き出した。

川島:まさにキャスティングの妙。

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「愛情がなければ放り出しちゃう」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所所長

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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