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映画監督・テレビディレクター 是枝裕和さん(3)

2015年10月2日(金)

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川島:是枝さんの団塊の世代観を変えてくださった方、いったいどなたですか?

是枝裕和(これえだ・ひろかず)
映画監督・テレビディレクター
1962年、東京生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出、14年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。主なテレビ作品に、水俣病担当者だった環境庁の高級官僚の自殺を追った「しかし…」(91年/フジテレビ/ギャラクシー賞優秀作品賞)などがある。
95年、初監督した映画『幻の光』(原作 宮本輝、主演 江角マキコ・浅野忠信・内藤剛志)が第52回ヴェネツィア国際映画祭で金のオゼッラ賞等を受賞。04年、監督4作目の『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭にて映画祭史上最年少の最優秀男優賞(柳楽優弥)を受賞し、話題を呼ぶ。13年、『そして父になる』で第66回カンヌ国際映画祭審査員賞他国内外の賞を多数受賞。2015年6月13日より最新作『海街diary』公開。
(写真:鈴木愛子、以下同)

是枝:アートディレクターの葛西薫さんです。

川島:なんと! どんな出会いだったんですか?

是枝:32歳の時、『幻の光』という映画を撮りました。衣裳をお願いした北村道子さんから、「日本映画のいちばんダメなところは、宣伝に全くこだわらないところと、センスが悪いところ」と言われたのです。

 「どうすればいいんですか」という僕に対して、「任せられるのは、この人しかいないわ!」と紹介されたのが葛西さんでした。

川島:葛西さんは、80年代のソニーの一連の広告、サントリーの「烏龍茶」の広告から虎屋やユナイテッドアローズまで、素晴らしい仕事を重ねている方です。私も今、伊藤忠商事の広告の仕事でご一緒しています、良いものを作ることに対しては絶対に妥協しない方で、本当に尊敬しています。

是枝:葛西さんは、打ち合わせで会うと、「今やっているこんな仕事があるんですけれど」と新しい仕事をどんどん見せてくださるのです。そういった新しい仕事について語る葛西さんの様子がとっても楽しそうなのです。仕事に集中して、しかも楽しんでいる。そんな団塊世代にお会いしたのは初めてのことでした。

川島:是枝さんがテレビマンユニオン時代に刷り込まれた、団塊の世代に対するネガティブなイメージが、同じ団塊の世代である葛西さんとの出会いで、大きく覆されたわけですね。

是枝:純粋に良いものを作ることに力を注ぐとは、こういうことなんだと思って。そうか、団塊世代でも、葛西さんみたいな人がいるんだ、と。だからそれからはあまり「世代」をひとくくりにしてレッテルをはらないようにしてます(笑)

川島:納得です。

「分福」という会社組織のやり方

是枝:さらに思い返すと、僕は大学生時代に、ひとりだけかっこいい大人に出会ったのです。それは、テレビマンユニオンを作った村木良彦さんでした。

川島:そうだったのですね。

是枝:村木さんは『創造は組織する』という本を書いていて、僕はそれを読んだのですが、「組織が物を作るわけではない。物を作るという行為が中心にあって、そこに人が集まることで結果的に組織ができあがってくる」という一節があって、今でも鮮明に覚えています。僕が作品を作るときの組織のイメージは、この村木さんの言葉がベースになっています。

川島:是枝さんの学生時代というと、80年代初めのことですね。

是枝:テレビマンユニオンとは、こういう清心な発想を土台に作られた会社だったし、僕が入ったのも、村木さんの考えに共感を抱いたからです。

川島:でも、是枝さんが参加したときは、もはやそういう空気が消えかかっていた。

是枝:ええ。だいぶ薄くなってたかな。でもそれは80年代のテレビ界全体の空気でもあった。僕は昨年、テレビマンユニオンを辞めて独立し、自分の制作者集団「分福」を創りました。そのとき、村木さんの考えを土台にしたのです。分福は、一応、僕が社長をやっていますが、西川美和と砂田麻美と僕という3人のディレクターと、それからスタッフがいる。

川島:『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和さんに、『エンディングノート』『夢と狂気の王国』の砂田麻美さん。すごいメンバーです。

是枝:「分福」は、メンバーが全員、自分の仕事を自己管理するのが前提なんです。そして、自分が関わった仕事のギャランティーだけをもらう仕組みです。固定給をもらう組織にしていないのです。だから厳密には会社じゃない。中心に作品があって人が集まる。3人の監督のうち2人が動いていれば、スタッフとお金が回せる。そんな小さな組織でスタートしました。

川島:面白い仕組みですね。

是枝:そうやって、ようやくディレクター3人で回すやり方が軌道に乗ってきました。次は若手、つまり、僕らの下の世代の人たちを、ディレクターとして育てていこうと考え、いまいろいろな番組を作らせているところです。

川島:もう次の世代の育成なんですね?

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「母系社会の方が人は幸せになれる」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所所長

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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