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奴隷サプライヤー制度は壊滅するのか?

2018年1月10日(水)

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 先日、物流のコンサルタントと話をした。物流コンサルタントといえば、主に物流の改善を担う。「物流改善っていってもねえ。いまでは、もう経営者の観点は違うんですよ」と彼は言う。「昔は、積載効率だとか、あるいは効率的な輸送ルートなんていうのを考えていました」。実際に、いまだに物流業各社とも、効率が非常に悪いのは事実だ。たとえば、運送業者がトラックを何台も有し、それぞれが100トンを運べる能力があるとする。ただ実際には、そのうち半分の貨物を運んでいればまずまずで、多くは能力の残り半分を空にしたままだ。貨物が小口化し、あるいは、配送時間が細切れになり、なかなか満杯では運べない。

 ただ現状は、その状況を改善するというよりも「とにかくひとを集める一点に集中している」と前述のコンサルタント氏はいう。「だって、ひとさえ集めれば、いくらでも仕事があるんだから。改善には目が行かないよね」。実際に、トラック運転手の有効求人倍率は、他の職業よりも高い。

 しかし、かといって労働時間が短いわけではなく、むしろ長い。給料は高くなりつつあるとはいえ、さほど高くはない。「そういえば、トラック運転手が外国人って見たことある? ないでしょう。あるいは、あなたの家に荷物を運んでくる、いわゆるラストワンマイルのひとが外国人だったことある? ないでしょう。運転手に技能実習生制度があるわけじゃないから、建設現場と同じく、こういう領域にも外国人が入ってこない限り、逼迫した状態が続くかもしれない」。

外国人実習生制度の問題点

 私も仕事で関わりのある、みずほ総研が2017年に公開したレポートは衝撃的だった。内容は、「日本は既に移民国家」とするもので、東京の外国人住民比率は4%にいたる、というものだった。日本人は毎年30万人ほど減っているが、外国人は15万人ほど増えている。このまま外国人が増えれば、日本では人間数は変わらないことになる。

 もしかすると、前述の仕事や、あるいはローソンの竹増貞信社長がいうように、コンビニに外国人実習生制度が導入されれば、この「移民国家」化は進むだろう。ただし、もしかすると来るかもしれない「移民国家」に向けて、その実習生たちは権利を保護されねばならない。

 たとえば、外国人実習生制度はかねてより、その問題点が指摘されている。最低賃金以下の給与しか支払われていない企業があったり、あるいは、劣悪な環境のなかで働かせる企業があったりする。実質的な人身売買といわれるほどだ。

 先日、放送されたテレビ東京「ガイアの夜明け」はその実態をつぶさに伝えた。「“絶望職場”を今こそ変える!」というテーマで、有名ブランドの下請け縫製工場が中国人等の外国人実習生を違法な低賃金で雇い、しかも寮はめちゃくちゃな住環境という状況を伝えた。

 この番組の最後は、元請けの有名ブランドへ窮状を訴えにいく労働者たちが、冷たくあしらわれる場面で終わる。

サプライヤーの法令遵守

 元請け企業の本音として、下請けのサプライヤーがどのように従業員を使っているかなんて知らねえよ、というかもしれない。しかし、下請けとはいえ、その労働状況を放置した元請けに対して、「ガイアの夜明け」後に批判が集まっている。近年、サプライヤーであっても、元請けがその労務管理をする必要があるとは、繰り返してきたとおりだ。以前は製造業だけだったものの、この流れは全産業に波及してきている。

コメント9件コメント/レビュー

移民が増えれば増えるだけ違法労働も増えると思います。特に介護業界。日本人の労働習慣や気質からすると、結果として外国人労働者を虐待する例が非常に多くなると思う。

それでも働きたい人には働かせる、これこそが資本主義だと思います。もちろん、奴隷は絶対駄目ですが。(2018/01/11 17:00)

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「奴隷サプライヤー制度は壊滅するのか?」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

移民が増えれば増えるだけ違法労働も増えると思います。特に介護業界。日本人の労働習慣や気質からすると、結果として外国人労働者を虐待する例が非常に多くなると思う。

それでも働きたい人には働かせる、これこそが資本主義だと思います。もちろん、奴隷は絶対駄目ですが。(2018/01/11 17:00)

弱いものから搾取するというのは変わらないでしょう。一つ、注意しないといけないのは、奴隷という言葉の定義。低賃金というのも比較対象があってのことなので、同一地域内で最低賃金以下或いは基準安全労働環境以下の状況で働かせることなのでしょう。低賃金の地域に作業を委託するということは、その地域の経済に寄与する。それらの違いを認識しておかなければ、先進国基準の『上から目線』の鼻持ちならない話になってしまう。(2018/01/11 08:07)

コンビニに外国人実習生を解禁も何も、留学生は週28時間までは労働できるのだから、最低賃金以上を貰っている外国人と適用対象外の外国人が混じれば対立構造に陥るのは目に見えていますし、万が一トラブルが表面化しても責任を取らされるのは零細オーナー。FCはこれまでも労使トラブルに不介入を決め込んで来ましたし多分今後もそう。ローソンの竹増社長も無責任ですね。
ところで最近は、外国人だけでなく日本人でも、いろんな職種で給料ではなくお小遣い名目でしかお金を貰えない事実上の家事使用人が増えています。労基法の適用が受けられないからどんな理不尽な扱いを受けても駆け込む場所がない。昔は料理人などそれでも独立して店を持つ夢がありましたが、現代版はお客さんからチップを貰う別の財布もなく、独立というステージまでたどり着くことも資金的に困難という道塞がりな状況に。
犠牲になっているのは外国人だけではありませんし、若い貴重な人材をそのような理不尽な状況に追い込んでいる限り、本当に国としての競争力など付かないでしょうね。(2018/01/10 17:04)

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