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企業努力だけでは食品ロスが減らない理由

2016年5月25日(水)

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 今週開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)。今週開催される会議だけでなく、4月に広島で開催された外務大臣会合を皮切りに、9月下旬の交通大臣会合まで、各国の大臣級会合が全国で10回開催される。

 今月15日から富山市で開催された環境大臣会合では、温暖化対策とともに「食品ロス」の問題がクローズアップされた。採択された「富山物質循環フレームワーク」では、世界で2030年までに1人当たりの食品廃棄量を半減させることを目指し、食品ロスの再利用を進めることに各国が協力して取り組むことで一致した。

 自動車部品や、電子部品と同じく食品にもサプライチェーンが存在する。今回は日本における食品ロスを、サプライチェーン的視点で分析し、その解決策を探る。

サプライチェーンのどこで、食品ロスが発生するのか

 2013年(平成25年)に農林水産省が発表した「食品ロス削減に向けて~「もったいない」を取り戻そう!~」によると、平成22年度には約1700万トンの食品廃棄物が排出され、食べられるにもかかわらずなんらかの理由で廃棄されている「食品ロス」が、その中に500万~800万トン含まれていると報告された。

 廃棄される約1700万トンの食品のうち、生産から販売までのサプライチェーンに組み込まれたプロセスで廃棄される「事業系廃棄物」は641万トンを占める。廃棄処分となった原因は、規格外品、返品、売れ残り、食べ残しだ。

 4つの原因の中で、サプライチェーン内の取り組みとして減量できる可能性があるものは、規格外と判断された食品だ。例えば、形が不揃いであっても、味や品質に問題なければ欲しいと考える消費者はいるだろう。しかし、サプライチェーンの管理上「規格外」と位置付けられた製品にも、良品と同じく流通過程で品質を確保する取り組みが必要だ。商品価値がない、あるいは極めて少ないと判断された製品を、規格品と同じように管理して、品質の保たれた状態で販売を実現するには、サプライチェーン上の各プロセスで「もったいない」意識を啓蒙するだけでは難しい。品質維持の観点では、規格に合致する製品と同じ管理が求められる。

 「返品」「売れ残り」といった問題は、食品ロス撲滅の観点からするとより深刻だ。一部の高級食材を除いて、食品生産量の決定に厳格な需要量の根拠は存在しない。また生鮮食料品などは、厳格な需要量があったとしても、その数量通りに生産できない不確定要素を含んでいる。需要予測の取り組みによって、従来よりも食品ロスを減らす取り組みは行われている。しかしこういった取り組みは、無駄なコストを減らした結果の利益確保の目的が強い。

 しかし、どんなに予測技術が発達しても、予測数量と発生した需要数量は一致しないだろう。サプライチェーンでは一定数の食品ロス発生を想定し、廃棄せず活用する手段を確立しなければならない。既に飼料化、肥料化、エネルギー化への取り組みが行われている。こういった取り組みの拡大と、新しくロスを廃棄せず活用する仕組みが必要だ。

消費段階で発生する食品ロス抑制のむずかしさ

 もう1つ、従来の考え方では「サプライチェーン外」とされる、消費者に販売された後の「家庭系廃棄物」は、事業系廃棄物の倍近い1072万トンを占める。これら食品が廃棄物となる原因は、食べ残し、過剰除去、直接廃棄だ。この部分に、企業が行っているようなサプライチェーンの考え方を導入するのは更に難しい。必要なときに必要な量を確保するためにというより、不足させないための食品を確保している可能性が高い。「もったいない」と感じる心よりも、モノがある充足感、満足感や、モノがない不安感を取りさるための「安心」を得る購入を前提にすると、「もったいない」と感じる心の啓蒙(けいもう)よりも、別の取り組みが必要だ。

 1月に米ラスベガスで催された世界最大の家電見本市コンシューマー・エレクトロニクス・ショー (CES)では、韓国のサムスン電子やLG電子からスマート冷蔵庫が出品された。冷蔵庫の前面にディスプレーを搭載し、内部の可視化を可能とし、インターネットとの接続機能も搭載していることで話題となった。

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「企業努力だけでは食品ロスが減らない理由」の著者

牧野 直哉

牧野 直哉(まきの・なおや)

未来調達研究所取締役

2012年、未来調達研究所取締役就任。現役バイヤーの立場から情報発信を行い、企業の調達・購買部門における取引先管理・サプライヤーマネジメントの専門家。調達・購買の現場に根ざした理論構築を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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