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根拠なき2社購買より確信のある1社購買を目指せ

2016年7月6日(水)

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営業と調達・購買部門のせめぎあい

 営業部門は、自社の製品やサービスを市場でナンバーワンやオンリーワンにすることを目指し、他の企業と競合しない販売活動の実現を目指している。ナンバーワンでは、将来的にナンバーツー以下に落ちて業績を悪化させる可能性は拭えない。だからこそ企業の事業活動はオンリーワン=比較されない状態を実現しなければならない。強固な販売力を確立するために、商品企画や開発に投資を行い、生産活動には改善を加え、販売チャネルの維持拡大を継続的に行っている。

 一方、企業の調達・購買部門は、自社では準備できないモノやサービスを外部企業(サプライヤー)から確保するという役割がある。ただ確保すれば良いのではなく、事業運営に必要なQCD(品質・コスト・納期)に代表される要求を満たし、かつできるだけ安価な適正価格を実現しなければならない。こういったニーズを満たすために、多くの企業で2社以上のサプライヤーから購入先を選定できる競合体制の確立を目指している。

 2社以上から購買を可能にする理由は、平時だけではなくサプライチェーンが寸断する非常時にもある。工場が受ける直接的な被害や、物流網が間接的な被害を受けても、被害を受けていないもう1社のサプライヤーから供給を受け、事業を継続するのだ。東日本大震災から5年を経て行った調達・購買の実務者へのアンケートでも、実に回答者の多くの調達・購買担当者が2社以上の購買体制構築を目指している。

非常時の供給体制に必要な平時の取り組み

 調達・購買部門が目指す2社購買体制。各企業がこぞって2社以上の複数社購買体制を目指しているにもかかわらず、なぜ大きな災害が発生するたびに「サプライチェーンの寸断」が取り沙汰されるのだろうか。

 2社以上からの購買体制を、平常時と非常時に有効に機能させるためには、事前のシミュレーションが欠かせない。全く同じ購入品を2社以上から購入している場合でも、原材料の入手性や生産能力といった必要なリソースの確保を、2社以上のサプライヤーそれぞれと事前に協議し、協力体制を構築しなければ円滑には実現しない。全く同じ購入品を2社以上から購入する場合、1社あたりの発注数量も減少する。そういった2社購買体制のデメリットを踏まえて、調達・購買部門は、本当に2社購買が必要か、あらゆる場面での有効性を検証しなければならない。

サプライヤー管理コスト増大

 近年多くの企業で、サプライヤー管理の負荷が増大している。地球環境の持続性へ配慮したり、サプライヤーの従業員管理に購入側の影響力の行使を求められたり、ケースバイケースであらゆる対応が必要だ。企業ブランドを維持するために、問題が起こった後の対応ではなく、問題を未然に防ぐための取り組みが盛んに行われている。

 ユニクロを展開するファーストリテイリングでは、サプライヤーを監査して発注停止したサプライヤーの存在を含めた最新情報を「お取引先とともに」で公開している。米アップルでは「サプライヤー責任」と題したホームページを設け、アップル自身がサプライヤーの従業員管理に影響力を行使する状況を、データをまじえて公開している。サプライヤーのQCDを監査して掌握するだけではなく、従業員が法律にそって正しく処遇されているかどうかを確認しているのだ。

 購入先を2社以上設定して、競合を機能させるためには、こういった従来よりも広がっているサプライヤー監査項目への対応が必要だ。こういった活動に実効性を持たせるには、サプライヤー監査でも相応の費用が発生する。これからの時代、購入するサプライヤー数を、管理費用面からも闇雲に増やせないのだ。

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「根拠なき2社購買より確信のある1社購買を目指せ」の著者

牧野 直哉

牧野 直哉(まきの・なおや)

未来調達研究所取締役

2012年、未来調達研究所取締役就任。現役バイヤーの立場から情報発信を行い、企業の調達・購買部門における取引先管理・サプライヤーマネジメントの専門家。調達・購買の現場に根ざした理論構築を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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