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CSRリスクは事後対応こそ重要だ

2016年7月20日(水)

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 サプライチェーンにまつわるCSR(企業の社会的責任)のリスクを検討するとき、考えるべき対象が多すぎてどこから手をつければ良いのか途方に暮れてしまう、そんな現実に直面しているビジネスパーソンも多いのではないだろうか。実際日本企業と欧米企業には、世界的に広がったサプライチェーンによって直面するリスクに温度差があるし、特にB to B企業はCSR対応に遅れが目立つとの指摘もある。

 筆者の認識では、サプライチェーンにまつわるリスクは、とどまらずに拡大の一途だ。今、どこからどんな指摘や報道があるかは見当もつかない。サプライヤーの従業員の人権問題や、多くの電子部品が潜在的にリスクを抱える紛争鉱物など。G7サミットでも「責任あるサプライチェーン」として、国家レベルでの取り組みが必要であることが共通課題となっている。企業の現場でも社会的責任をどう果たせば良いのか。事業活動を展開しつつ具体的な取り組みの方法の模索が続いている。

 CSRでは想定すべきリスクが広範囲であり、特定分野における対応すべき深度も明確なルールがいまだ存在しないのが大きな悩みだ。どこまで対応すればいいのか、責任をまっとうする範囲が明確でないから立ち止まってしまっているのが実状だろう。

 加えて、社会的な抹殺を目的としているような最近のマスコミ報道と、インターネットにおける炎上も、実務者の悩みに拍車をかける。今年に入ってからの芸能人の不倫問題や経歴詐称問題、政治家の公私混同の疑惑などをみても、表舞台から引きずり降ろすまで報道が続く。CSRにまつわる問題で自社の名前を語る報道が行われたらどう展開するのか。企業のブランドイメージに与える影響を考えると、実務者の苦悩は増すばかりだ。

 リスク対応のセオリーからすれば、リスクが顕在化したときの影響を、ある程度特定しないと対策は打てない。まず自社のサプライチェーン上にどれほどの利害関係者たる企業が存在するかを掌握しなければならない。企業ごとに従業員、顧客、企業所在地の一般市民とCSRを前提とした良好な関係構築が求められる。

 トヨタ自動車では、企業の社会的責任の1つである大規模災害発生時の生産と供給の継続をまっとうするために、直接取引のあるサプライヤーだけでなく、10次サプライヤーまで調査を行ったとされる。多くの企業で同じ対応ができるかといえば、費用面や人員面で疑問が残る。実際には予算的にも人員的にも対応できない内容が多すぎて、限られたリソースで無限大に広がるリスクへの対応を模索する。これがCSR対応の1つの落とし穴である。

関係性は外部によって作られる

 CSRにまつわる問題が企業名をともなってマスコミ報道された場合、リスクが顕在化したと判断しなければならない。リスクが顕在化する局面はなにも大規模災害だけではない。自社に関係する企業の従業員や企業所在地の市民にデメリットが生じていれば、局所的に自社にのみ発生する。

 そういった事態に直面した場合、多くの日本企業は、事実関係の確認を最優先させる。本当に自社の、あるいは自社のサプライヤーが関係しているのかどうか。報道内容が正しいのかどうか。自社のサプライチェーンに関係する利害関係者にデメリットを与えているのかどうかを明らかにする。この取り組みそのものは間違っていない。しかし対応の優先順位が問題だ。

 優先すべきは、自社に責任があるのかどうか、報道が事実かどうかではない。報道によって、起こっている内容と自社にはすっかり関係が構築されてしまったのだ。事実関係は別にして、日本国内であれば世間を騒がせた事実に対するおわびと、事実関係の調査を行った上で結果の公表を約束しなければならない。

 加えて今、分かっている事実があれば、合わせて公開も必要だ。こういった対応をする時点では、まだ自社に責任があるのかどうか分からない。サプライチェーン上の管理も行っており、報道された内容は事実無根と言いたいのが本音だ。しかし、全く責任がないと証明するのは不可能だろう。それよりも少し、いや僅かな部分でも原因につながる取り組みがあった、あるいは原因を起こさない防止策が取られていなかった事態を想定するのが先決だ。

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「CSRリスクは事後対応こそ重要だ」の著者

牧野 直哉

牧野 直哉(まきの・なおや)

未来調達研究所取締役

2012年、未来調達研究所取締役就任。現役バイヤーの立場から情報発信を行い、企業の調達・購買部門における取引先管理・サプライヤーマネジメントの専門家。調達・購買の現場に根ざした理論構築を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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