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サプライヤー管理はアップルを真似すべき

2016年8月3日(水)

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紛争鉱物対応の現実

 先月、米国大手企業の紛争鉱物に関する対応状況の調査結果が発表された。紛争鉱物とは、紛争地域で産出され、それを購入することで現地の武装勢力の資金調達につながる可能性がある鉱物を指す。調査対象の67%もの企業が、使用する対象鉱物の原産地を明らかにしていない事実が明らかになった。米国でサプライチェーン上の紛争鉱物使用状況の調査を専門的に行う会社が発表しており、紛争鉱物使用の実体解明の難しさを象徴している。

 米国において「The 2010 Dodd-Frank Act」と呼ばれる法律の適用を受ける企業は1200社以上ある。そのうち日本企業は17社と、直接的に報告が必要な日本企業は少ない。しかし米国企業と取引のある日本企業は、米国企業のサプライヤーとしてこの法律を順守する必要があるため無視できない。国内企業しか取り引きを行っていなくても、自社の製品の使用先によっては、遠く海を隔てた米国に広がったサプライチェーンによって、購入する鉱物の原産地管理に迫られているのである。

 この報告には特筆すべきポイントが2つある。1つは、この法律に対し真っ当に対応しようとして、専門家を擁する企業の手を借りたとしても、全容解明に至っていない現実である。専門的なノウハウをもってしても、紛争鉱物を購入していない事実を証明するためには、非常に多くの困難が待ち受けているのだ。社内のサプライチェーン管理部門のノウハウだけで対応するには限界があると考えるべきだ。そして、米国でさえ約70%もの企業がいまだ不明確さを抱えている点は、国内企業のサプライチェーンの管理者に、暫定的な安心材料となるのではないか。

 しかし引き続き現地武装勢力への資金供給が続いているという報告もある。サプライチェーンの管理者は、抜本的な対応を行うために、サプライヤーの管理レベル向上を目指すことはもちろんだが、外部リソースの活用も視野に取り組む必要があるだろう。事実、昨年対比では徐々にサプライチェーンの全容が明らかになり、武装勢力への資金供給も減少しているとされる。直接的ではないにしろ、この法律に代表されるCSR(企業の社会的責任)調達やコンプライアンスの遵守を迫られる日本企業は、どのように対応すべきであろうか。

日本企業が見本とすべきアップル

 ここでは多くの日本企業に参考となるアップルの取り組みを紹介する。アップルのホームページには「サプライヤー責任」と題して、この難題への取り組みをホームページで公開している。サプライヤー責任は「説明責任」「労働者の権利と人権」「従業員の支援」「環境、健康と安全」「報告書」の5つのパートで構成されている。

 多くの企業が、サプライヤーへの直接的な監査を通じて、紛争鉱物の使用実態を明らかにする中、アップルも同じようにサプライヤーへの監査を通じてサプライヤーの管理状況の掌握に取り組んでいる。注目すべきは、同時に行っている教育プログラムに代表されるサプライヤーへの支援だ。アップルのサプライヤー責任のトップページには「説明責任」についてアップルの考え方を明らかにしている

 サプライヤーの管理レベルを設定し、一定期間ごとに監査を行っている企業は多いだろう。しかしアップルは、そういった管理状況の説明責任を課しているだけではなく、サプライヤーが自ら責任を全うするために必要なスキルを獲得する「サポート」を提供している。この取り組みは、紛争鉱物のみならず、従業員の人権といった他のコンプライアンスの問題も含まれている。

集中購買の進むアップル

 アップルがサプライヤーへの教育に代表されるサポートを前面に出すのは、取り引きを行っているサプライヤー数が少なく、ほぼすべてのサプライヤーに教育が行き届いているからであろう。2016年2月に公開された「Supplier List」によると、上位200社のサプライヤーで、購入額の97%を占める集中購買を実現させている。サプライヤー監査の回数は2015年で640件を数えており、これは97%を占めるサプライヤーを年3回監査している計算になる。

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「サプライヤー管理はアップルを真似すべき」の著者

牧野 直哉

牧野 直哉(まきの・なおや)

未来調達研究所取締役

2012年、未来調達研究所取締役就任。現役バイヤーの立場から情報発信を行い、企業の調達・購買部門における取引先管理・サプライヤーマネジメントの専門家。調達・購買の現場に根ざした理論構築を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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