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そしてサプライチェーン震災リスク恐怖症は続く

2016年8月24日(水)

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 私はサプライチェーン、特に調達・購買関連のコンサルティングに従業している。このところ、再び増えてきたのは、サプライチェーンにおけるリスクマネジメントについての相談だ。

 熊本地震から一段落したからだろうか。あらためて、自社の調達網について再考する企業が増えているようだ。では熊本地震ではサプライチェーンが進化していなかったかというと、そうではない。サプライヤーがマップとして整備されたり、あるいは震災後の復旧が早かったりした事実からは、確かに各社の努力が伺われる。震災が起きるたびに、サプライチェーンは遅々としながらも進化してきた。

 しかし、問題が残ったのも事実だ。結局、あまりサプライヤーの二重化は進んでいなかった。これはマルチソース化とも呼ばれる2社購買のことで、材料や部品を単独企業からではなく、複数企業から調達することでリスクをヘッジするやり方だ。熊本地震では、このマルチソース化が進んでいないことをはからずも露呈した。なお、このマルチソース化について、世間には多くの誤解があると私は思う。そのため、詳しくは別途連載記事に書いておいた

 必ずしもマルチソース化が正解ではない。そのほか、サプライヤーの工場を二重化してもらい、一方の工場が被災した際には、代替工場で生産してもらう、マルチファブ化もある。また、標準部品の採用などを検討してもいい。

 では、今、どこまでやるべきか――。その悩みが企業を襲っている。

 「坂口さん、あのね。結局は、どこまでやっても終わりがないとは思うんだけれど、ウチのトップから、調達部門としての指針を示せっていわれてね」。こう現場は吐露する。

サプライチェーン寸断とそのコスト

 震災などでサプライチェーンの寸断が起きるたびに、さまざまな単語が飛び交う。東日本大震災のときは、BCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)が有名になった。そして、次にBIA(Business Impact Analysis、事業影響分析)という概念が出てきた。

 これは、リスク管理をする対象について、どれだけ自社事業に影響を及ぼすかを把握するものだ。そののちに、多大な影響を及ぼすものについて施策を練る。例えば、先ほどのサプライチェーン寸断においては、外部企業から調達する部品・部材類が問題となった。企業が部品・部材を調達できなかった場合、自社にどのような影響があるだろうか。

<販売関連>
  • *売上高の減少
  • *将来売上高の減少
  • *それに伴うブランド価値の毀損
  • *客先からの賠償、罰金請求
  • *キャッシュフローの減少
<間接費用(固定費含む)>
  • *復旧にかかわる従業員の工数
  • *復旧にかかわる従業員の残業費等
  • *復旧にかかわる従業員のサプライヤーへの派遣費用等
  • *工場の遊休費用
<その他コスト>
  • *生産時間延長に伴う外部支払いコストの増加
  • *出荷関連費用の増加

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「そしてサプライチェーン震災リスク恐怖症は続く」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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