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VW問題はサプライチェーンを破壊する

2015年9月30日(水)

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(写真:ロイター/アフロ)

 独フォルクスワーゲン(VW)がディーゼル車の排ガス規制を不正してクリアした問題が発覚した。当初はそこまで広がりがないかもしれないと思う向きがあったものの、突然その対象が1100万台に上ると判明。ヴィンターコーンCEO(最高経営責任者)は辞任。さらに現時点では、他社へも飛び火しようとしている。

 もともとは窒素酸化物の排出量について米国当局が行ったテストがきっかけだった。VWにも、規定値以上の排出を指摘していたものの、当局もさすがにソフトが“活躍”しているとは思えず時間が過ぎた。しかし、そこからの追加調査によって「ビートル」「ゴルフ」といった車種に不正ソフトが発見された。

 その役割は巧妙で、排ガスの検査時にのみ特定の抑制装置を最大まで稼働させることで、なんとか基準をクリアしていた。検査のモードを察知することで通常とは違う動きをさせ、逆に通常運転時には排気ガスの浄化装置の機能を止めていた。欧米メディアは、これを「ディフィート・デバイス(無効化装置)」を使ったと述べたが、これは排ガス浄化機能の一部あるいはすべてを無機能化するものだ。馬力が必要なときには、このディフィート・デバイスを使い、結果、最大規定値の約40倍の排出に至っていた。アメリカでは大気浄化法で搭載が禁止されているし、反社会行為につながるものとされる。

 排気ガス試験のときには排気ガスを抑えるモード、燃費試験のときには燃費優先モードに切り替わっていたと思われる。どの程度の悪意を持ったものかどうかは、あえて断言は避けるものの、結果としては市場を揺るがす事件となった。

 VWは環境に優しいクルマを標榜していたものの、燃費と実際の排出量をごまかしてディーゼル車を販売し、結果、米国当局と消費者の双方を騙し続けてしまった。

 VWの制裁金は2兆円を超えるかもしれない。さらに、ブランドイメージの毀損を考えると、将来の売り上げ減少は避けられないだろう。日本車を含む他社への代替や、ハイブリッド車・電気自動車への移行、そしてこれからの検査のあり方など、議論するべきポイントは多い。

アッセンブリー企業=VWの没落と影響

 自動車産業では、VWのようなアッセンブリー企業を頂点とし、その下にコンポーネンツサプライヤーを有する構造となっている。VWはナチ政権下で誕生し発展した。自動車産業の発展には、ある種の国家主義と統制経済的な行政指導が寄与する。

 VWはヒトラーがフェルディナンド・ポルシェに、民衆車を開発するよう依頼したものだった。そしてその名の通り民衆車(VW)は、優れた大量生産と効率性を誇っていた米フォード・モーターのドイツ版だった。

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「VW問題はサプライチェーンを破壊する」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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