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園児らはなぜ「夢の国」開業前に上海を去るのか

上海ディズニーと格差(1) 行き場をなくしさまよい始めた農民工

2016年4月14日(木)

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(写真:Imaginechina/アフロ)

 2016年6月16日、上海にディズニーランドが開園する。間もなく上海は、「夢の国」で楽しく1日を過ごすために中国全土からやって来る家族連れやカップルなどの行楽客で溢れかえることだろう。ところが皮肉なことに上海でいま、夢の国の開園と時を同じくして、かつて夢を追い求めて上海にやって来た人たちが、雪崩を打って上海を去るという現象が起こり始めていることはあまり知られていない。その勢いは、上海を離れる子供たちの大量離脱で、ある保育園では経営が成り立たなくなる恐れが出ているほどである。

 この一群とは、上海で単純労働や肉体労働に従事する地方出身者だ。仕事も住み家もなくし、文字通り上海に居場所をなくして右往左往した挙げ句、追い立てられるように去る者。去りたくても次の行き場所もなく、途方に暮れて立ち竦む者。一家離散を迫られる者。上海で格差社会の下層部分に属する彼らにいま、何が起こっているのか。そこには、清濁併せ呑む懐の深さで膨張してきた上海が、成長の頭打ちでついに悲鳴を上げ、支えきれなくなった地方出身者を弾き出そうとしている構図がある。

 ただ、「夢の国」の誘致に成功したこの町に夢を見ることができなくなった一群の切り捨ては、「来る者は拒まず」の姿勢で都市としての魅力を形成し人やカネを引きつけてきた上海が、急速に輝きを失う危うさもはらむ。そして上海のこの姿は、強大な経済力を前面に打ち出し「一帯一路」で欧州やアフリカにまで勢力拡大を図り、ギリシャの港湾やアフリカの資源を買い漁るなど強気の裏で、アフリカにまで自国民の雇用を創出しようと必死にもがく中国全体の姿とも重なる。夢の国開園に沸く上海で、これ以上夢を見せまいとする上海と、夢を見れなくなった人々の姿をシリーズで追う。

「今度こそもうダメかもしれない」

 「たったいま、大家からアパートの追い立てを食いました。5日後に出て行けって。今度こそもうダメかもしれない」。

 私のスマートフォンに、チョウさん(35)からの切羽詰まったショートメッセージが入ったのは、2016年の春節(旧正月)が明けて間もない3月初旬のことだった。

 「彼女もか」。折り返しの電話をかけながら、私はそう独りごちた。そして確信した。「彼らの周囲で何かが起きている」、と。

コメント12件コメント/レビュー

中国に長年住んでいたので、友人も多いがこのような記事を読むたび心が痛みます。中国は2000年間皇帝独裁の国です。共産主義国家ではありません。共産主義はそもそも資本主義を経験して初めて可能になりますが共産主義国と称する国は従来の後進国か発展途上国です。資本主義における民主主義を経験していないので、庶民も社会体制側も社会問題の本当の対処の方法が分からないのではないでしょうか。体制側は本気で対処する気はないかもしれません。不満が暴発しない程度に庶民を終え込む政策をとって延命策を図るのがせいぜいでしょう。その意味では中国大陸の本質は2000年間変わっていないのではないかとも思います。どうしたら中国(韓国も含む)と共生が出来るのでしょう(その必要はないと言う人もいますが)。(2016/06/16 07:50)

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「園児らはなぜ「夢の国」開業前に上海を去るのか」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

中国に長年住んでいたので、友人も多いがこのような記事を読むたび心が痛みます。中国は2000年間皇帝独裁の国です。共産主義国家ではありません。共産主義はそもそも資本主義を経験して初めて可能になりますが共産主義国と称する国は従来の後進国か発展途上国です。資本主義における民主主義を経験していないので、庶民も社会体制側も社会問題の本当の対処の方法が分からないのではないでしょうか。体制側は本気で対処する気はないかもしれません。不満が暴発しない程度に庶民を終え込む政策をとって延命策を図るのがせいぜいでしょう。その意味では中国大陸の本質は2000年間変わっていないのではないかとも思います。どうしたら中国(韓国も含む)と共生が出来るのでしょう(その必要はないと言う人もいますが)。(2016/06/16 07:50)

掃除だけ頼んでいたのに食事を頼まなくなるって矛盾してるね。(2016/06/16 07:41)

日本の「保育園落ちた日本しね」を挙げて日本の方が状況が悪いとされているご意見があるが、
中国人の苛烈さをご存じないのでしょうね。
少し場所を変えれれば保育園に空きがある地域もありますし、全てに行き届いていない面もあるかもしれませんが、本当にどん底に堕とされる中国と比べれば、日本では最低限生きていける道は残されています。
日本国内の他の生活水準と比べれば、確かに悪い状況に見えてしまうのかもしれませんが、
日本は未だ救いの手は差し伸べられてはいるのだと思いますよ。
中国では情で互いに助け合う人達もいるにはいますが、一方で日本社会以上に非情に切捨ててしまうケースの方がより多く深刻である事が察せられないのは如何かと感じます。(2016/06/13 12:06)

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