• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

株暴落は歴史に学ばない中国

平穏な町と市民を支える正体は実態とかけ離れた高賃金

2015年9月3日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

上海都心部にある証券会社。この日、上海総合指数が4000の大台を回復したが、株価ボードを眺める市民はみな浮かぬ顔(2015年7月20日)

 6月12日に上海総合指数が終値で5166の最高をつけたのをピークに上海の株が下落に転じ、7月初頭にかけて約3割暴落、日本や欧米のメディアが中国の景気がいよいよ危ないと言い始めたころ、私は比較的冷めた目でそれらの報道を見ていた。なぜって、上海に住む私の周囲で株をやっている知人・友人に、景気の悪そうな人が1人も見当たらないからだ。

 友人、知人以外に目を転じても、円安で収入が目減りした私が、ランチはワンコインでと自己防衛するのをあざ笑うかのように、50元(約1000円)のランチを出す近所の食堂は、サラリーマンで連日大盛況。株が下がっているからと財布のヒモを幾分でも締め直した様子は微塵も感じられなかった。

 上海総合指数は7月2日に4000を割り込み、同8日には3507まで下げた。ただそれでも、上海株が高騰に転じた3月初旬の3300よりまだ高い水準にあったし、ちょうど1年前の7月8日は2064だったのだ。

 信用取引、すなわち株を担保にカネを借りて株を買い増してきた人たちは確かに大きな損害を受けただろうが、自己資金でやっている人たちにとっては、暴落したといっても振り出し近くに戻っただけ。そんな事情が、彼らの余裕の表情につながっている――この見立てでほぼ間違っていないだろうと思い、景気の実情を調べてみる気も起こらなかった。

 その後、中国当局が8月12日から3日連続で人民元の切り下げを実施、同24日には上海総合指数が8%超暴落、これに引きずられてNY株も1000ドル超安と世界同時株安が発生し、翌25日にはついに3000の大台を割り込んだ。人民元を3日連続で切り下げるなど、「世界の工場」としてやって来た中国の生命線とも言える輸出が相当、悪い状況になっていることの証だ。それでもなお、株をやっている知人・友人や上海市民の表情に動揺の影は見られない。証券会社で株価のモニターを眺めている時にはさすがに浮かない顔をしているが、9月に入っても1000円ランチの店は引き続き大盛況。上海発の世界同時株安もまるで他人事のようだ。

 ここに来て、私もさすがに不思議に思い始めた。これだけの材料が揃って、彼らはなぜ、こんなに平然としていられ、町の様子も表面上はこれまでと変わるところがないのだろうかと。

コメント27

「中国生活「モノ」がたり~速写中国制造」のバックナンバー

一覧

「株暴落は歴史に学ばない中国」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック