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激怒するゴジラと中国人の奇妙な沈黙

農民の中国礼賛を支える危うい楽観主義

2016年9月15日(木)

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日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。

(©2016 TOHO CO.,LTD.)

 「シン・ゴジラ」は日本滞在時の仕事場を借りているみなとみらいの横浜港のほとりに建つシネコンで観た。ゴジラが最初に姿を見せたのは東京湾の羽田沖だが、海中からゴジラが天空に吹き上げた高い水蒸気を目視できるのではないかという距離感にあるシネコンである。上陸したゴジラがレーザービームや巨大な尻尾でタワーマンションをなぎ倒す武蔵小杉も、日本滞在中は毎日のように通過する。よく知る生活圏が舞台ということも相まって、映画としては単純に面白かった。

怒るゴジラ、怒らない人間

 面白かったのだが、身近な生活圏が舞台だからこそ、腑に落ちない点が1つだけあった。それは、劇中、怒っているのはゴジラだけで、町を木端微塵にされているというのに、人間側は誰も怒っていないという点である。

 シン・ゴジラが暗喩するものについては、原発事故だ、いや戦争だと、様々な解釈があるが、いずれにせよ、人間がしでかしたことに起因するものだがら、ゴジラに対して怒るのはお門違い、でも、このまま放置するわけにもいかないので、粛々と受け止め対処するしかないという諦念で、人間を怒らせなかったのだろうか。だとしたら、それはあまりに優等生的だ。

 なぜって、武蔵小杉のタワーマンションは安くないのだ。私はみなとみらいに仕事の拠点を置くに当たり、武蔵小杉に住めれば便利だな、家賃も安くないし、どうせなら家賃分をローンに充てて、等と考えて調べてみたら、7000万円から1億円が相場だと知り、早々に購入は諦めた。聞くと、武蔵小杉のタワーマンションを購入するのは世帯年収1000万円以上の層だとのことだが、町で見かける住人たちは、学齢期まっただ中の子供を抱えた若い夫婦の家族が多い。長期の住宅ローンと学費で可処分所得は年収から想像するほどには多くないはずで、マンションをぶっ壊されたら「チクショウ、ゴジラお前、いい加減にしろよ!」と感情を爆発させて怒鳴りつける人が1人ぐらい出てくる方が、リアルだと思うのだが。

不公平・理不尽も「仕方ない」ですませる中国人

 怒らないと言えば、現代の中国人も奇妙なほどに怒らないという印象を私は持っている。

 私は日々、上海のどこかで中国人に対して怒りを爆発させている。青信号で横断歩道を渡っている私に向かって直進し歩行者を蹴散らす白バイに。家賃を3割も上げるとしゃあしゃあと言いながら、「契約書を作るのは面倒くさいからイヤだ」と言い放つ、バブルの恩恵でカネを得ることについて舐めきった態度の上海人の大家夫婦に。ところが、中国人だって同じような目に遭っているはずなのに、怒っているのはどうやら私だけ。中国全土で、というと風呂敷を広げ過ぎだが、上海で一番怒っているのはダントツで私だ。

コメント14件コメント/レビュー

中国各地でウルトラマン人形を売っているところをみると、ウルトラマンは良く放映されていたようですが、ゴジラは中国の皆さんあんまり馴染みがないのではないですかね?ところで、まったく、不景気中国はどこへ行くのやら。中秋の名月の日は大陸・香港、マカオどこも公休日なのでマカオで三連休を過ごしたのですが、イミグレも繁華街もどこもがらがらといっていいほどで、10年以上前に戻ったようでした。例の反腐敗闘争でだんだん客足の落ちるマカオ、それでも半年前はそれなりに街中で大陸客を見かけたものでしたが。ツアーや自由行の大陸旅行客はいまいずこ。マカオはホテルも安値、アップグレードし放題。(2016/09/19 13:43)

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「激怒するゴジラと中国人の奇妙な沈黙」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

中国各地でウルトラマン人形を売っているところをみると、ウルトラマンは良く放映されていたようですが、ゴジラは中国の皆さんあんまり馴染みがないのではないですかね?ところで、まったく、不景気中国はどこへ行くのやら。中秋の名月の日は大陸・香港、マカオどこも公休日なのでマカオで三連休を過ごしたのですが、イミグレも繁華街もどこもがらがらといっていいほどで、10年以上前に戻ったようでした。例の反腐敗闘争でだんだん客足の落ちるマカオ、それでも半年前はそれなりに街中で大陸客を見かけたものでしたが。ツアーや自由行の大陸旅行客はいまいずこ。マカオはホテルも安値、アップグレードし放題。(2016/09/19 13:43)

いくらなんでもゴジラ関係なさすぎでは…と思ったら連載コラムの一編だったんですね(それでもシン・ゴジラ特集にまとめるのはどうかと思いますが)。

ゴジラに対する"感情"が登場人物たちに希薄なことには様々な演出意図があろうかと思いますが、一つは観客たる我々に委ねているのだと思います。怒り、畏怖、戦慄、興味、などなど。
少なくとも私自身、過去作全て見てきてますが、ゴジラの破壊行為に対して「もうやめてくれ」と震えたのは今回が初めてでした。
そしてそれこそが、初代ゴジラを当時劇場でみた人々の追体験であり、製作陣の狙ったところではないかと思います。(2016/09/18 00:08)

社会への怒りつまり公憤とは、志のある人にのみ見られるのだと思います。

そもそも中国は「皇帝と奴隷」で構成される社会体制ですから。
ロシアや朝鮮と同じで、一部の変人を除き、原則としてお上に逆らうことはしません。

為政者側も人民を愚衆として扱い、批判力を養う本物の教育は施しません。
ノーベル賞級の発明・発見の少なさはその証左の一つです。

中露朝いずれの人民も身の不幸を嘆くばかり、小利の追求に精一杯、です。
自ら徳を磨き、社会の規範となり、国を興すという気概は起きません。
良き社会への責任は皇帝のみが負うべきで、私ども小人は小金稼ぎに精出します、というわけ。
奴隷制度を持たず、国家の危急には農民も商人も理想を語った日本とは、文明の種類が違うのです。

公憤は仁ある者のみが発するのです。(2016/09/15 15:07)

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