• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ジャップと呼ばれて考えた沖縄「シナ人」暴言

差別される側の感情を知るのに経験は必要ない

2016年10月27日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

(写真:ZUMA Press/アフロ)

 日本語を勉強する中国人、そして中国語を勉強する日本人が必ずぶつかる壁がある。それは濁音だ。

 中国語には濁音がない。中国語を勉強し始めたばかりのころ、とても上手に中国語を操る日本人の先輩に私はアドバイスを求めた。すると彼は、「頑張って濁音を使わないようにすると、中国語っぽく聞こえるようになるよ」と教えてくれた。

日本人も中国人も濁音に苦戦する

 例えば「大学」の発音は「daxue」と表記するから日本人がそのまま読むと「ダーシュエ」になるが、実際には「ターシュエ」と濁らずに発音する。「日本」も発音表記は「riben」で、これを日本語で書くと「リーベン」としか表記のしようがなくて困るのだが、「ben」の字は「ベン」と思い切り濁って発音せず、息を口から漏らさぬよう発音すると、中国語らしく聞こえるというわけである。ただ、母国語に濁音を持つ日本人にはこれがなかなか難しい。

 言い換えれば、中国人は、日本語の濁音を濁って発音するのがとても苦手だということになる。

 私が中国語を学ぶため1988年に留学した山西省太原にある山西大学には日本語学科があった。学生は1年生から4年生まで総勢50人ほどいただろうか。今の学生のことはあまりよく知らないが、当時、中国の大学生は日本語学科に限らずとても勤勉だった。電力不足に発電所の故障が重なり、あの年の山西大学では、中国人の学生が使う教室も寮も、夜10時になると一斉に消灯してしまったのだが、それでは勉強時間が足らないからと、中には氷点下20度にまで下がる太原の冬の夜中、大学の構外に出て、道路の街灯の明かりで勉強するという、蛍雪という言葉をまさに地で行くような学生が1人や2人ではなかった。それだけ熱心に勉強するから、日本語学科の2年生で日常会話に支障がなく、4年生ともなればまさに皆ペラペラになる。

 その4年生の中でも特に上手な女子学生がいた。後に彼女は高い日本語能力が評価され、日本政府の奨学金を得て日本留学を果たしたのだが、この彼女でさえ、濁音では苦労していた。

 私と彼女は何度か、中国語と日本語の交換レッスンをしたのだが、初日の様子をいまでもよく覚えている。日本語のテキストには、私の手持ちの小説か何かを使い、彼女にそれを音読してもらったのだが、「早くしてください」という一節を彼女が、「早くしてくたさい」と「だ」を濁らずに読んだのを私は聞き逃さなかった。そして私は彼女に読み直しを命じた。

 「くたさい」「ダメ」
 「くたさい」「ダメ」
 「くたさい」「ダメ、もう一回」

 30回は繰り返しただろうか。それでもできない彼女がおもむろに、「あーっ! 私はくださいさえも言えない!」と叫んだ。無意識が功を奏したのか、「ください」と言えていた。

コメント33

「中国生活「モノ」がたり~速写中国制造」のバックナンバー

一覧

「ジャップと呼ばれて考えた沖縄「シナ人」暴言」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック