• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

中国全体で格差を真剣に議論する時が来た

作家・星野博美氏に聞く中国(2)

2017年12月5日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 『3億人の中国農民工 食いつめものブルース』を上梓したのを機に実現した、ノンフィクション作家の大先輩・星野博美さんとの対談の2回目。星野さんは、相変わらず貧富の激しい状況が改善しない中国に疑問を呈するとともに、嫌中派の人には、もっと中国を知ってもらいたいと訴える。

(前回の記事「チャラチャラ感が加速する中国は崩壊目前」から読む)

星野 博美(ほしの・ひろみ)
1966年東京都生まれ。作家、写真家。『転がる香港に苔は生えない』(文春文庫)で第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『コンニャク屋漂流記』(文春文庫)で第2回いける本屋大賞、第63回読売文学賞「随筆・紀行賞」受賞。その他の著書に『謝々!チャイニーズ』(文春文庫)、『銭湯の女神』(文藝春秋)、『のりたまと煙突』(文藝春秋)、『島へ免許を取りに行く』(集英社)、『戸越銀座でつかまえて』(朝日新聞出版)、『みんな彗星を見ていた』(文藝春秋)、写真集に『華南体感』(情報センター出版局)、『ホンコンフラワー』(情報センター出版局)などがある。最新書は『今日はヒョウ柄を着る日』(岩波書店)。(写真=深澤明、以下同)

山田:香港を見ていると、やっぱり大人たちがもうちょっと何とかしないと、というところですよね。

星野:そうなんです。大人に絶望しちゃったんです、香港の若者たちは。大人たちが中国と手を組んで俺たちを切り捨てたというふうに感じているんですよ。だから世代断絶もすごく深刻。

山田:大人から子供までピュアという感じでしょうか。若い子たちはピュアでやらせてもいいけど、それを後ろでもうちょっと大人たちが交渉するなり、根回しするなりすべきだと思う。地ならししてやらなきゃしょうがないだろうと思いますね。

星野:もちろん40~50代で精神的に支えている人もいたし、私の友達なんかもデモに行ったりしていたけど、そういう人ってやっぱり少数派ですね。

 あと香港人って50歳になったらもう引退モードに入るじゃないですか。人生のスピードがすごく速い。そうすると、老後を考えると、あまり動乱を大きくしたくないとなりますね。

山田:返還のときもそうなのですが、香港の場合は民主派がとにかく頭でっかちというか、きれいごと過ぎるというところがとてもある。

星野:香港の古い民主派は超インテリです。まったく庶民からかけ離れている。市場でかんかんがくがくやるような人たちじゃない。そういう人たちが交渉などで中国共産党とはやりあえるわけがない。

山田:やれるわけがないですね。

星野:香港はいまも中国から1日150人の移民を受け入れていますが、計算だとあと20年も経つと香港人より中国人の方が多くなります。そうなると、中身が入れ替わっちゃう。香港という箱はそのままで「一国両制」といいながら、中身を入れ替えちゃうんです。私の想像ですが、それこそ中国が香港に対して目論んでいることでしょう。

山田:入れ替えちゃえばという発想ですか、すごい。多分、星野さんの指摘通りでしょう。

星野:どんどん、どんどん中国人を送り込めばもう香港人は嫌になっちゃうでしょう。選択できる人は香港人なら外に出ていきます、何もしなくても。中国にとっては、弾圧なんかしなくても、毎日150人送り込めば、自然に出ていってくれる。カナダとかオーストラリアとか。

山田:でも一方で行き場のない人たちもいるでしょう。

星野:だから香港の底辺にいる人たちは、濃いスープの一番下のどろどろとしたようなところに永遠にずっといることになってしまう。

 私はこういう人たちにすごいシンパシーがあるから、山田さんの本を読んで、面白かったと言うのもあるけど、中国の底辺層の人たちの話を読むと、何か怒りを覚えますね、やっぱり。

山田:そうですね。

コメント29件コメント/レビュー

>本気で相手のことを理解しようとすれば、自然と戦争や圧力以外の解も見えてくるという話ではないでしょうか
中共の解に戦争や圧力以外のものがありますか?国内問題でもそうですから、共産党員は本気で9億の農民を理解した事が無いのでしょうね。民意が政治に無関係なお国との関係では、日本が理解すべき相手は党トップの考えでしょう。(2017/12/12 23:55)

「中国生活「モノ」がたり~速写中国制造」のバックナンバー

一覧

「中国全体で格差を真剣に議論する時が来た」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

著述業/EMSOne編集長

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>本気で相手のことを理解しようとすれば、自然と戦争や圧力以外の解も見えてくるという話ではないでしょうか
中共の解に戦争や圧力以外のものがありますか?国内問題でもそうですから、共産党員は本気で9億の農民を理解した事が無いのでしょうね。民意が政治に無関係なお国との関係では、日本が理解すべき相手は党トップの考えでしょう。(2017/12/12 23:55)

名誉白人意識というか、単に大陸アジアとは親近感が無いだけだと思う。イギリス人も自分たちと大陸のヨーロッパ人を分けて考えている節がある。(2017/12/11 21:18)

「貧乏な農民工」に同情するのはいいが、まだ中国人の本質が見えていない。もし彼らが大金持ちの企業経営者になったとして、「彼らが貧乏な農民工を雇って待遇を改善するか」と考えたことがあるだろうか?そんな経営者はどこにもいない。「権力を持たない弱者は強者から搾取されるのは当たり前」というのが常識だから。もっと重要なのは、「貧富の立場が逆転したら、自分も同じことをする」というのが一般中国人が決して言わない本音なのである。このことに気付いている日本人は本当に少ない。「貧乏な農民工」に同情するなら、自分に都合のいい「貧乏な農民工」だけでなく、自分が同情できない「貧乏な農民工」もきちんと見据えた上で、レポートするべきだろう。それを足して2で割れば、本当の「農民工の実態」が見えてくる。その上で「貧乏な農民工」に同情すればよい。(2017/12/11 14:50)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授