• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

丹羽元中国大使「習近平は権限を委譲すべきだ」

日本中国友好協会会長、元中国大使の丹羽宇一郎氏を迎えて(1)

2017年12月27日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本を代表する中国通といえば、この人をおいていないだろう。元中国大使で、現在は日本中国友好協会の会長を務める丹羽宇一郎氏だ。伊藤忠に在籍していた際には商社マンとして長期間中国に関わり、また中国大使としては中国全土を訪問し、そして中国の要人たちと付き合いを深めてきた。特に、尖閣問題で日中の対立が激化した際には、両国の関係を正常化するために骨を折った姿は記憶に新しい。

 今回から2回に渡って、丹羽氏をお招きして対談を行った様子を紹介する。丹羽氏にしか知り得ない中国の現状や、今後の日中関係の行方など、多岐に渡ってお聞きした。

丹羽 宇一郎(にわ・ういちろう)
日本中国友好協会会長。1939年、愛知県生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。1998年、社長に就任。2004年、会長に就任。内閣府経済財政諮問会議議員、総務省地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任し、2010年、民間出身では初の中国大使に就任。現在、公益社団法人日本中国友好協会会長、早稲田大学特命教授、福井県立大学客員教授、伊藤忠商事名誉理事。著書に、『人は仕事で磨かれる』(文藝春秋)、『中国の大問題』『習近平はいったい何を考えているのか』(共にPHP研究所)、『死ぬほど読書』(幻冬舎)、『戦争の大問題』(東洋経済新報社)など多数。(写真=吉成大輔、以下同)

山田:本日はよろしくお願いいたします。

丹羽:『3億人の中国農民工 食いつめものブルース』読ませていただきました。私は中国の田舎を歩いていましたから、内容が非常によく分かります。でも、中国の人でも知らないことが多いです。今日も、ある講座に呼ばれて、中国人の企業経営者の方々50~60人の前で話をしてきたんです。ただ、彼らは直接、農民工のことは知らない。

 上海や北京など中国のあちこちから来ていました。日本はどうなっているのか、日本人と仕事をするにはどうしたらいいのかなど、そういうことが聞きたくて来ておられる。農民工などの話も当然出てきていて、例えば賃金の格差が大きいという話も問題点としては出てくることは出てくる。

 これから中国がどうなっていくだろうかというような話をするときに、隣接している省でも格差が大きいから、一緒に話ができないんです。中国のような、あの広大な国を、今の33の行政区でやっているから難しいんです。

山田:なるほど。

丹羽:中国には3000人の国会議員がいるわけです、全国人民代表大会には。これほどの規模の中で、民主主義的資本主義をやろうとしても、これまでの参考とすべき事例が世界にないんです。中国が初めての試みです。アメリカが一番大きいといっても、人口は3億人ぐらいです。EUは5億人といっても連合体で一国の形にはなっていない。だから14億人の国民を日本やアメリカと同じような民主主義的資本主義で統治できるのか? 未だできないんです。だから独裁じゃないとだめでしょう。

山田:ご指摘の通りですね。

丹羽:今のところはね。だから唯一できる可能性があるとすれば、あの国を会社にして、習近平を本社の社長にする。そして子会社6つぐらいつくって、その子会社に権限を委譲してやるんです。そうすると民主主義的にいろいろな政治ができると思うんです。

 ただ、子会社のように分けた場合に、さっきも言ったけど隣と格差があるとうまくいかないんです。

 例えば、韓国と北朝鮮が一緒になったら韓国はつぶれます。だって、今の実力からいうと、韓国の人が100払っているのに、北朝鮮は10から20しか払えないわけです。もし一緒になると、おそらく北朝鮮の連中がドーッと韓国になだれ込んでくる。そうすると、韓国は何十倍か知らないけど、負担を追わなければいけないわけです。

山田:負担しなきゃいけないですよね。

今まで誰も描くことのなかった中国版ヒルビリー・エレジー
3億人の中国農民工 食いつめものブルース

この連載「中国生活「モノ」がたり~速写中国制造」が『3億人の中国農民工 食いつめものブルース』として単行本になりました。
各界の著名人から好意的なレビューをいただいています。

●中国が熱さを忘れつつある中で、中国に対する熱い思いに満ちた本と言えるだろう。さまざまな読み方、活用法がある本と思うが、私には何より著者、山田氏のその「熱さ」が魅力的だった。
(中国問題の研究家 遠藤誉氏によるレビュー「執念の定点観測で切り取った、中国農民工の心?」より)

●もうひとつの違いは、ロウソクの味がするパンしか食べられない貧しい農民工たちの心の豊かさだ。外国人である山田氏と友情を築いた彼らは、自分が食べていくことさえ困難なのに、必ず「ご飯を食べに来て」と招待する。そこに、ホロリとした。
(米国在住のエッセイスト 渡辺由佳里氏によるレビュー「繁栄に取り残される中国の『ヒルビリー』とは?」より)

●しかし、奇妙なことだが、同書を読後、陰鬱な印象かというと、実はそうでもない。同書には、絶望的な内容があふれてはいる。それなのに、なぜか一抹の希望を感じさせられる。おそらく、それはn=1の農民に愛情を込めて付き添ってきた著者の生き様に、読むものが感動を受けるからだ、と私は思う。
(調達・購買コンサルタント/講演家 坂口孝則氏によるレビュー「年収3万の農民に未婚の母、中国貧民の向かう先」より)

コメント7件コメント/レビュー

世界中に支店網を持つ総合商社伊藤忠の元社長であった丹羽さんが「だから14億人の国民を日本やアメリカと同じような民主主義的資本主義で統治できるのか? 未だできないんです。だから独裁じゃないとだめでしょう。」といっているのにはちょっとびっくりだ。昨今は中国以上の経済成長を遂げている人口13億人のインドの政体はなんだと考えているのだろう?(2017/12/27 15:17)

オススメ情報

「中国生活「モノ」がたり~速写中国制造」のバックナンバー

一覧

「丹羽元中国大使「習近平は権限を委譲すべきだ」」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

ノンフィクションライター

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

世界中に支店網を持つ総合商社伊藤忠の元社長であった丹羽さんが「だから14億人の国民を日本やアメリカと同じような民主主義的資本主義で統治できるのか? 未だできないんです。だから独裁じゃないとだめでしょう。」といっているのにはちょっとびっくりだ。昨今は中国以上の経済成長を遂げている人口13億人のインドの政体はなんだと考えているのだろう?(2017/12/27 15:17)

内容を読むとなるほど、今の中国はこうでああで、もっとここをこうすればと、
わかりやすく丁寧におっしゃっている。
しかし、タイトルの「習近平は権限を委譲すべきだ」
は「アメリカは共産主義国家になるべきだ」と仮に言っているくらい、
説得力がない。
この偉い人は、人間(習近平)を見る目が備わっていない。残念ながら。
時を同じくして読んだコラム、
遠藤 誉氏の「中国イニシアチブ──姿を現した習近平の狙い」
は背筋がぞっとした。これぞ的を得ていると思った。(2017/12/27 13:44)

現在中国に居住・生活をしている者です。
山田泰司さんの記事はいつも考えさせられながら拝読しております。
今回の記事については、私が仕事柄出稼ぎの農民工を相手にしている事に加え、対談のお相手が「元中国大使:丹羽宇一郎氏」と言う事で尚の事興味深く拝読させて頂きました。

対談の内容としては、私が感じえている中国の現状と相違が無く非常に現実的なお話かと思います。
ただ私が違和感として感じえるのは、中国と言う国の経済的変位を他の国と同様に検証するのは些か乱暴な気がします。
お二人も十分承知でおられる通り、この国は共産党独裁であり共産党が発する事が国の方向性を変えてしまいます。
その現状に人民は抗う事が出来ず、明日はどうなるか分からない状況に常に置かれている事を加味しなければ、農民工のみならず中国人民の将来を語る事が出来ない現実です。

私の知人で富裕に属する人達は、常に海外脱出の手段を講じ準備を進めております。
翻って農民工などを含む農村エリアの方々は、夢を見る人・諦めかけている人・完全に自分の出番は無いと諦めている人など様々です。

私が接する中国人は20代~60代、男性女性を問わず様々です。
自国に対し諦めている方も居れば、明るい未来を信じている方もいらっしゃいます。

今回の記事は感じ考えさせて頂ける部分が沢山あり、次回の掲載を楽しみにしております。(2017/12/27 12:29)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

時間をかけて、そばに置いて付き合わないと、本当に好きなのかどうかは分からない。

中尾 浩治 テルモ元会長