地方・企業・社員、出張観光で三方喜ぶ!?

名古屋、博多、新潟に出張したら一足延ばして行きたいおすすめ観光地

香港でも認知度が高い佐賀牛ブランド。佐賀牛レストラン「季楽」は訪日客も急増している

 地方創生元年の今年。企業各社は今、ビジネスの可能性も含めて地方との関わりを模索しているところが少なくないでしょう。地方創生において地域資源活用は重要なテーマの一つですが、そこで不可欠なのが地域の外からの視点による資源の掘り起こしや評価、地域にはないアイデアや発想です。自治体の地方版総合戦略の策定においても民間の知見の活用が求められていますが、企業にとっても地方創生は大きなビジネスチャンスです。

 しかし、実際に地域と関わることで企業にどのくらいのメリットがあるのか、民の知見が本当に地方創生にプラスに働くのかは、いまだ未知数です。やり方次第で互いに大きな果実を得ることもあれば、時にどちらかが手酷い目に合うことも十分考えられます。

 地域と企業の関係でいえば、バブル崩壊後、企業では出張旅費がコストカットの標的となり、かつて宿泊が当たり前だった出張も日帰りを余儀なくされることが増えました。最近では社員が出張後に観光した場合、帰りの旅費の返還を求めたり、法律を盾に旅費の支払いをしない規定を設ける企業も出ていると聞きます。

 しかし地域で様々な刺激を受け、体験や学びを通して新たな発見をし、自らの見聞を広げたり、環境を変えリフレッシュすることで社員が新たなアイデアや発想を得ることは、企業にとってもプラスではないでしょうか。

 地方創生が大きなビジネストレンドとなる中、今回は社員、企業、地方の三方良しに繋がる「出張観光」の可能性を、3カ所の出張観光地の分析を基に探ってみます。また今回は国が地方版総合戦略策定の情報支援ツールとして開発した地域経済分析システム「RESAS(リーサス)」を使い、地域の比較分析をしてみます。

名古屋-岐阜23分、博多-佐賀37分、新潟-村上45分

 出張観光は地域経済にも大きなインパクトを与えます。下の表「観光庁の観光入込客統計(2013年)」で、日本人の観光入込客数16億5654万人回のうち、ビジネス目的の客の割合は12%、観光消費額では24%を占めます。観光目的、ビジネス目的問わず、県外客がもたらす観光消費の割合は高く、地域にとってはいかに県外から客を呼び込むかが課題となります。現状、ビジネス目的の観光消費額で日帰り客の比率は9割を超えます。このうち例えば1%を宿泊客に変えれば、年間数百億円の観光消費が新たに生み出されることになります。

観光入込客数 観光消費額 県外日帰り消費 県外宿泊消費
日本人(観光目的) 14億5628万人回 12兆1759億円 3.4兆円(28.6%) 4.8兆円(39.4%)
日本人(ビジネス目的) 2億26万人回 3兆7599億円 2.5兆円(66.8%) 0.3兆円(7.4%)
※大阪府、福岡県を共通基準未導入のため除いた45都道府県のうち、集計済み42都道府県の集計による

 さて、みなさんは普段どの地域によく出張されますか。2013年42都道府県中、ビジネス目的の宿泊客が多かったのは(東京都を除けば)1位が愛知県で506万人回、2位が静岡県で478万人回、3位が京都府の341万人回、4位兵庫県319万人回、5位長野県275万人回となりました。

 しかし、1位愛知県のお隣にある岐阜県は107万人回で、観光目的の259万人回を加えても愛知県には遠く及びません。名古屋-岐阜駅は普通電車でわずか23分、山手線を半周するより早い距離にあるにも関わらずです。

 一方、観光庁の宿泊旅行統計調査(2014年)で全国の延べ宿泊客数4億7350万人泊のうち、283万人泊で47都道府県中46位となった佐賀県のとなりには、1523万人泊の福岡県があります。博多から佐賀へは特急列車でわずか37分です。

 また960万人泊で全国15位の新潟県は、ビジネス目的の宿泊客数では広島、宮城に次ぐ全国8位です。しかし新潟から特急列車でわずか45分のところにあり、夕日が美しいと評判の瀬波温泉や城下町の町並み散策が人気の村上市は、2013年の観光客数224万人のうち県外客は60万人、関東からの客は27万人に留まっています。

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著者プロフィール

水津 陽子

水津 陽子

合同会社フォーティR&C代表

経営コンサルタント。合同会社フォーティR&C代表。地域資源を活かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。

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