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共働きでも子だくさん~仏企業の光と陰(後編)

2016年4月14日(木)

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週35時間制、長時間労働への歯止めがきく

 フランス企業で短時間勤務やテレワークといった柔軟な働き方が、さほど大きな抵抗なく受け入れられているのには、理由がある。日本企業のように「長時間労働」が常態化していないのだ。何しろ、「週35時間労働」が基本で、残業を入れても週48時間までに法律で規制されている。

 裁量労働制の管理職は週35時間制の対象外となり、年間で労働時間を調整する仕組みになっている。週35時間を超えて働いている管理職には、年5週間の法定有給休暇に上乗せがされ、年6~7週の有給休暇の権利が付与されることが多い。休暇の消化は法律で定められており、8月になると、フランス企業では役員から社員まで3週間は連続してバカンスを取るのが当たり前。日本から連絡を取ろうにも連絡がとれず、仕事がストップしてしまうというぼやきがよく聞かれる。

 そもそも週35時間制は、2000年に失業者対策として導入された。労働時間の上限を定めることで仕事を分かち合う、つまりワークシェアリングをしようというものだった。その後、これがワークライフバランスの後押しになるといわれるようになった。

企業側には「経営にはマイナス」との本音も

 「35時間制は仕事と子育ての両立にプラスではないか」

 経営者や企業人事にこう尋ねたところ、経営者からは「35時間がワークライフバランスに寄与するとは間違ったメッセージだ」と猛反論され、人事からは「国の規制だから従わざるを得ないが」と奥歯にものの挟まった答えが返ってきた。つまり企業側は「経営にはマイナスだ、経済力をそぐもの」として反対なのだ。

 35時間労働については毎年のように見直し議論が起こっている。現在出されている労働法改正案のなかにも35時間を超える労働に対する残業代削減、また解雇規制の緩和などが盛り込まれており、3月末にはフランス全土で約39万人が参加する反対デモが起きている。

 子育て中の社員に聞くと「社会的には問題があるかもしれないが、個人としては35時間制は助かる」と言う。管理職以外の一般社員にとっては、基本的に35時間以内で働くことになり、家庭との両立を図りやすい。対象外の管理職でも、年間6~7週間のバカンスを家族と過ごすことでメリハリを付けられる。前編で紹介したミリアムさんの家庭では、夏休みは3週間しっかりとって、旅行やキャンプ、カヌー、山登りなどを楽しむ。2週間のクリスマス休暇のうち1週間はスキー旅行、もう1週間は両親など家族とゆっくり過ごすという。

 経済・財政・産業省に務めるカップル、マリー・クロード・ギユウさんとパスカル・コランさんの場合は、35時間労働が適用されない管理職のため、有給休暇が追加される。これを使い二人とも多忙な職場でフルタイム勤務のまま、子供の学校が休みとなる水曜日(現在は午後のみ休み)を交代で休んで子供二人の面倒をみてきたという。「やはり35時間という時間規制は子育てにとってありがたい」と実感している。

マリー・クロード・ギユウさんとパスカル・コランさんは、ともに35時間労働が適用されない管理職。追加される有給休暇を子育てに充ててきた

コメント5件コメント/レビュー

前編後編とも、ほとんどが専門職、管理職、役員等エリートへのインタビューで終わった。スーパーの店員、中小企業の事務員、工員などの状況はどうなのか。

「仏企業」すなわち高給取り専門職という視野の狭さにがっかりした。ごく普通の労働者の現実を報道してもらいたい。(2016/04/16 22:37)

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「共働きでも子だくさん~仏企業の光と陰(後編)」の著者

野村浩子

野村浩子(のむら・ひろこ)

ジャーナリスト・淑徳大学教授

日経ホーム出版社(現日経BP社)で「日経WOMAN」編集長、女性リーダー向け雑誌「日経EW」編集長などを歴任。日本経済新聞社・編集委員などを経て、2014年4月から、淑徳大学人文学部表現学科長・教授。財政制度等審議会委員など政府審議会委員も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

前編後編とも、ほとんどが専門職、管理職、役員等エリートへのインタビューで終わった。スーパーの店員、中小企業の事務員、工員などの状況はどうなのか。

「仏企業」すなわち高給取り専門職という視野の狭さにがっかりした。ごく普通の労働者の現実を報道してもらいたい。(2016/04/16 22:37)

総労働時間の抑制はワークライフバランスとワークシェアリングには有効であるが、チョット待って欲しい。
昔は景気が良くなるとガンガン残業して収入が上がり、さらに消費を刺激した。まさに「24時間戦えますか」の時代だった。労働者にとって残業は割増がつく手っ取り早い増収方法だったのである。それが今や上限をはめられ、景気が良くなっても賃金収入はそれほど増加しない。政府が春闘を煽っても尻すぼみの結果になったのは周知の事実であり、アベノミクスが期待通りの効果が上がらないのも労働時間の固定化が原因ではないかと思ってしまう。
何事も功罪半ばすると思し召せ。(2016/04/15 15:20)

フランスが先進国の中でも飛び抜けて出生率が高い理由が分かり易く説明されている。私は既に定年退職して年金暮らしをしているが、サラリーマン生活の殆どを米系企業で過ごしたので、一般の日本人よりは欧米人に近い感覚を持っている。社員の過半は残業は確り付けて請求していた。私自身は会社が不調の時は残業させないように心を配ったものだ。然し、聞くところによれば、多くの日本企業では「サービス残業」は当たり前、休日出勤も手当無しでやっている人が多いという。これでは週あたりの労働時間上限を法律で決めても意味がない。法律で決めるとしたら、それが破られた場合にとんでもない程の罰金を科すこととセットで成立させなければ意味がない。「情状酌量」を認めない態度が必要。正直言って、現在の労働基準監督署は全然「監督」していない。放任に近いと言える。無届けのサービス残業は、数値から読めば仕事効率が上がった様に見えるが、実は効率が上がったのではなく余分な時間をかけてより多くの仕事をこなしたに過ぎない。日本の場合、「仏つくって魂入れず」となる事が多い。最近は法律を盾にとって会社を訴える偉い個人も増えてきたが、やはり行政が強力にリードすべきだ。女性の役職者も「20XX年までにXX%」と具体的な数値目標を課し、達成した会社は法人減税を与えられる等の褒賞制度も有効だろう。10年以上かけて段階的に数値目標を最終的には30%代以上に持って行ったら、あとは企業に任せたら良い。これからの一般家庭では、子供を大学に行かそうと思えば共稼をしなくては無理だ。そんな環境でいつまでも「料理、洗濯、買い物、子育てなどの家事は女の仕事」という先入観念を変えていかないと女性のストレスは社会問題になる事間違いない。保育園で園児が37度の熱を出したら母親に電話して引き取らせる様な安易な母親依存の排除しないと責任ある仕事に就く事が難しい。安倍政権は女性登用や一億層活躍などの受けの良い「キャッチコピー」は次々と打ち出すが、どれも「お付き合い」程度で本気度が感じられない。野党の中には部分において優れた考え方を持っている党もあるが、経済運営も含めて全体として自民党を上回る党が不在。民進党には自問の対抗馬として切磋琢磨し交互に政権を担当する様になって日本の政治を良くしてもらいたい。(2016/04/14 17:21)

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三品 和広 神戸大学教授