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資生堂の「働き方改革」が広げた波紋の裏側

2015年12月21日(月)

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 育児のため短時間勤務をする美容部員に、夕方以降そして土日のシフトに入ってもらう資生堂の「働き方改革」が関心を集めている。「女性が働きやすい会社」として知られる資生堂が、後退してしまったのか? それとも前進なのか? 「資生堂ショック」と報じられた改革が注目されたのは、多くの企業で「我が社」の課題であり、多くの子育て社員にとって「我が事」であったからだ。資生堂の働き方改革、その意味を問い直したい。

 「“資生堂ショック”の真相とは何か。女性が働きやすい会社というイメージだったが、資生堂は後退してしまったのか」

 11月、九州のある地方都市で女性活躍について講演したときのこと。来場者の一人が「今一番知りたいこと」として、こうコメントした。

 「資生堂ショック」とは、資生堂が2014年春に実施した「働き方改革」のこと。これまでも新聞各紙や日経ビジネスオンラインなどで報じられてきたが、この11月にNHKが「おはよう日本」のなかで「“資生堂ショック”改革のねらいとは」と題して特集を組んだことで、賛否両論巻き起こった。

 初めて耳にする方のために、少しおさらいをしておきたい。資生堂の「働き方改革」とは、育児のために時短勤務をする美容部員約1200人に対して、夕方以降の遅番や土日のシフトに可能な範囲で入るよう、働き方の見直しを促したもの。同社は遡ること2007年、美容部員が育児をしながらも仕事を続けられるように、夕方以降の人手不足を補うカンガルースタッフ制度を導入するなど、両立支援策を充実させてきた。その結果、時短勤務の美容部はこの10年で約3倍となり、全美容部員の1割を占めるようになった。時短勤務者は夕方以降、また土日のシフトには入らないということが、いつしか「暗黙の了解」となっていた。

 そこで起きたのが、職場の不協和音だ。支える側の社員からすると「いつも私たちばかり遅番や土日勤務をして」と不満が募っていた。さらに時短勤務をする社員にも、夕方以降の発注業務や多忙な時間の顧客対応をしないことでスキルの蓄積に遅れが見られるようになった。こうした問題を受けて、約半年をかけて職場の上司である営業部長らが時短勤務をする社員一人ひとりと面談をし、遅番や週末のシフトに入ることはできないか、壁となるものは何かを話し合った。面談をする前にあらかじめ質疑回答案を用意し、全マネジャーが「夫が子育てに参加できない」「週末子どもを預けるところがない」といった社員の悩みに対して同じ答えができるように、6つの回答例を暗記してもらうなど徹底した導入研修を行ったという。

 NHKの特集は、こうした働き方改革をややセンセーショナルなタイトルで報じた。これに対するネガティブな反応はこうだ。

 「女性が働きやすい会社だと思っていたのに、後退したの?」
 「業績悪化を受けて、短時間勤務の社員にもっと働けというのか。けしからん」

 果たして、資生堂の改革は後退なのか、前進なのか。女性活躍推進のゆり戻しがきているのか。

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「資生堂の「働き方改革」が広げた波紋の裏側」の著者

野村浩子

野村浩子(のむら・ひろこ)

ジャーナリスト・淑徳大学教授

日経ホーム出版社(現日経BP社)で「日経WOMAN」編集長、女性リーダー向け雑誌「日経EW」編集長などを歴任。日本経済新聞社・編集委員などを経て、2014年4月から、淑徳大学人文学部表現学科長・教授。財政制度等審議会委員など政府審議会委員も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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